夢幻水滸伝
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第三十八話 豊後の拠点その四
「あそこは貿易と一緒にや」
「観光もやな」
「やってく、琉球ツアーとかもや」
「やっていくんか」
「国家がな、富裕層の別荘とかも建てさせてな」
そうしてというのだ、流石に一般民衆がそうそう旅行に行ける位この世界の社会は成熟してはいないのだ。
「それでや」
「琉球は観光産業でもやってくか」
「そうしてくで、太宰がそう考えてるんや」
「ここでもあいつか」
「この前僕に話してきた」
九州出征前にというのだ。
「琉球はそうしよってな」
「それでか」
「琉球は貿易と観光や」
「それで儲けるか」
「あとあそこの作物もあるしな」
「サトウキビとかパイナップルか」
「元々日本の砂糖はあそこからかなり仕入れてる」
この辺りは江戸時代の日本と同じだ、彼等の世界の。
「しかしその砂糖をだ」
「世界に売るか」
「そうしてくんや」
「もっと作ってか」
「そう考えてる、ただな」
「ただ?」
「言うまでもなくまず日本国内で売るのを優先させてな」
そしてというのだ。
「領民を苦しませんことや」
「ああ、江戸時代の砂糖栽培は酷かったっていうしな」
砂糖を作らせている奄美等では民衆がかなり酷い搾取を受けていた、それを目の当たりにして怒ったのが西郷隆盛だったのだ。
「そえでやな」
「ああ、そんなことはせん」
「領民苦しめたら本末転倒やな」
国を豊かにする為にだ。
「そういうことやな」
「その通りや、これは北原も守ってるしな」
今現在琉球を領有している彼もというのだ。
「そやからな」
「僕等もやな」
「そんなことはせん、民が豊かになったらや」
「国も豊かになる」
「その考えや、まあ農奴ある国もあるけどな」
「何処かすぐにわかったわ」
中里はその農奴がある国を想像しつつ芥川に返した。
「どうせ戦で捕まえた捕虜とか逆らった人間をそうしてるんやろ」
「そや、シベリアとかヒマラヤでも徹底的に鉱山で働かせてな」
「農奴もか」
「荒地に放り込んで徹底的にや」
まさにというのだ。
「死んでも生き返らせてな」
「そうしてか」
「徹底的にこき使ってるわ」
「どっかの世紀末の世界みたいやな」
話を聞いてだ、こういった中里だった。
「それやと」
「荒地で徹底的にこき使うからやな」
「まあ騙して放り込むことはせんな」
「あくまで捕虜とかだけや」
自分達に逆らった者達もである。
「そうしてるわ」
「そうか、しかしな」
「それでもやな」
「あの連中らしいえげつなさやな」
「捕虜でもあっさりと従ったらええけどな」
「下手に逆らったか」
「そうしてるわ」
農奴にしているというのだ。
「まああの二国はそうした国々や」
「そういうことやな」
「そや、まあ大抵の国はな」
日本も含めてだ。
「そうしてるわ」
「善政敷いてるんやな」
「それが一番国豊かにするしな」
「そら悪政なんか敷いたらな」
それこそというのだ。
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