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夢幻水滸伝

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第三十七話 肥後へその七

「ヨーグルトもあるたいよ」
「よし、それも注文しよか」
「飲みものはコーヒーにしよか」
「織田作之助さん風にコーヒーや」
「そうしよか」
「そこは水軍たいよ」
 親父はカレーの後のコーヒーと聞いてこう返した。
「水軍はコーヒーばい」
「そういえばそやったな」
「海軍、こっちの世界の水軍はコーヒーや」
「この佐世保は軍港やしな」
「当然コーヒーになるな」
「そうたい、コーヒーはサービスたい」
 金は取らないというのだ。
「一杯目はそうたい」
「よし、ほなコーヒーもや」
「コーヒーも貰うわ」
「デザートはヨーグルトにして」
「コーヒーもや」
 カレーの後で、というのだ。四人も。
「カレー四皿食べてや」
「四種類のカレー全部な」
「そしてそれからや」
「ヨーグルトとコーヒーや」
 この組み合わせを最後に食べるというのだ、そのうえで。
 四人は四種類のカレーをそれぞれ注文して食べた、そうしてからヨーグルトとコーヒーを楽しんだ。そのコーヒーを飲みつつだった。
 瑠璃子は店の窓から佐世保の街を見てだ、こう三人に言った。
「ええ街やな、ここも」
「ああ、落ち着いた感じでな」
「軍港でもな」
「そうした雰囲気の街やな」
 三人もそれぞれこう答えた。
「ここは」
「何かええ感じやな」
「静かでな」
「舞鶴でもそうらしいな」 
 瑠璃子は若狭のこの軍港の名前を出した、関西の軍勢にとっては重要な軍港であり日本海全体に影響を及ぼしている。
「あそこも」
「ああ、うちあっちの世界の舞鶴に行ったことあるで」
 雅美はカレーを食べつつ瑠璃子に話した。
「あそこに」
「そうなん」
「中学の時家族旅行で。自衛隊の軍港もあってな」
「やっぱり雰囲気静かやねんな」
「海ものどかで赤煉瓦も奇麗で」
「武張ったところないんか」
「ないない」
 スプーンを一旦置いて右手を横に振って否定した。
「そんなのはな」
「ここみたいな感じか」
「むしろこっちよりもな」
「静かなんやな」
「そやねん」 
 舞鶴はそうしたところだというのだ。
「多分こっちの世界の舞鶴もそやで」
「呉なんか賑やかな感じやったけどな」
 紗枝はこの街の話をした。
「こっちの世界でも」
「そやな、あそこは」
 雅美は紗枝のその言葉に応えて頷いた。
「人も多くてお店もよおさんあって」
「賑やかやったな」
「随分とな」
「あそこにおったら」
 呉に住んだ場合についてもだ、紗枝は考えて述べた。
「楽しい感じするな」
「賑やかやさかいな」
「横須賀なんかも賑やかやしな」
 由香は関東最大の軍港の話をした。
「うちあそこに行ったことあるけれどな」
「あっちの世界のやな」
「そや、しかもお洒落やし」
 由香は紗枝に応えて彼女達の本来の世界の横須賀の話をしていった。
「商店街なんか。アメリカ軍もおるし」
「基地もあってやな」
「日曜の午前中とか中に入ってビュッフェも食べられるで」
 そうしたことも楽しめるというのだ。 
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