八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十九話 雨のバイク部その十二
「焼酎派になったんだよ」
「成程ね」
「ちなみに祖父ちゃんもよく祖母ちゃんに酒止められてるよ」
「日本酒も」
「飲み過ぎたらわかるだろ」
「日本酒だから糖尿病だね」
「それになるって言われてな」
それでというのだ。
「よく止められてるんだよ」
「お祖母さんに」
「結構な、お陰で糖尿病にはなってないぜ」
「それはいいことだね」
「そうだよな、まずい酒で糖尿病になるとかな」
関東の日本酒をとにかく悪く言っていた、葛飾や東京の話は愛情が感じられたがこのお酒には否定しか感じなかった。
「洒落になってないぜ」
「そこも変わるといいね」
「だよな、ちょっと行ったら甲府のワインあってな」
「あれは美味しいね」
「日本酒飲めないからそっち飲むか」
「江戸っ子ワインだね」
「合わないだろ、江戸っ子にワインは」
僕に笑ってこんなことも言ってきた。
「そうだろ」
「まあ聞かないね」
「お蕎麦にはそば湯か酒ってな」
「お茶はないんだ」
「あがりって言うだろ」
「ああ、あがりだから」
「これで終わりってなるからな」
だからだというのだ。
「飲まないんだよ。お茶はな」
「そうなんだな」
「そこも通は五月蠅いんだよ」
「昔の江戸っ子の」
「うちの祖父ちゃんみたいな人はな」
「そうなんだ」
「まあ俺は違うけれどな」
このことはというのだ。
「そば湯も飲むけれどな」
「お茶もだね」
「ああ、飲むぜ」
実際にというのだ。
「そっちもな」
「そうなんだね」
「それでワインもな」
「お蕎麦の時飲むんだ」
「一回そうしたよ」
「白だよね」
「そっちのワインな、けれどな」
飲んだが、という返事だった。
「あまりな」
「合わなかったんだ」
「やっぱりビールの方が合うな」
ざるそばにはというのだ。
「炭酸系がな」
「そういうものなんだ」
「もんじゃにもビールだしな、俺」
「もんじゃね」
「こっちはあまりないけれどな」
「僕もあまり食べないよ」
お好み焼き派だ、それも大阪の方だ。
「そっちは」
「やっぱりそうだよな」
「あまりね」
「好きじゃないか」
「食べようとは思わないし」
どうにもだ、もんじゃについては。
「お好み焼きがあるとね」
「西の方はそうだよな」
「うん、お好み焼きだよ」
「聞いてたけれど実際にそうだったな」
「お好み焼き美味しいと思うけれどな」
「まあな、ただもんじゃも食いたくなる時があるんだよ」
江戸っ子としてはというのだ。
「時々な」
「けれどないっていうんだ」
「街でもんじゃあまりないだろ」
「ないね」
実際にとだ、僕は答えた。
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