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夢幻水滸伝

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第三十七話 肥後へその四

「明るくて賑やかで気立てもよくてね」
「いい娘達だね」
「本当にね」
「うちもそう思うとよ」
 純奈も四人についてこう言った。
「あの娘達はよか娘達ばい」
「そうだね、けれど今はね」
「敵同士ばってん」
「だから戦うしかないってことだね」
「そうばい、それじゃあね」
「ああ、佐世保でも戦うよ」
 雪路は純奈に笑って答えた。
「今からね、ただね」
「ただ?」
「斥候を海の方にも出してたけれどね」
「水軍が来てるたい?」
「そうなんだよ、何隻かね」
「それは悪かね」
 純奈は雪路のその話を聞いてまずい声で応えた。
「どうにも」
「そうだね、だからね」
「それでたいな」
「今の佐世保にいる兵で陸と海から戦うってなると」
 そうなると、というのだ。
「満足に戦えないね」
「そうばいね、やっぱり」
「だからね」
 それでというのだ。
「戦うことは出来ないかもね」
 どうにもというのだ。
「佐世保、それで長崎でもね」
「じゃあどうするばい?」
「陸からでも勝てる状況ではないばい」
 元々時間稼ぎであることをだ、純奈は指摘した。
「そこに海も加わるとたい」
「どうしようもないね」
「だからね」
 それでとだ、また言う純奈だった。
「多分すぐに軍師さんが言って来ると思うとが」
「ああ、佐世保はだね」
「適当なところでね」
「退くんだね」
「長崎にね、そしてばい」
 その長崎でもというのだ。
「こっちに来るばい」
「いるだけで時間稼ぎになるからね」
「そうするといいばい」
「そうだね、まあ今はね」
「時間稼ぎたい」
 このことを念頭に置いてというのだ。
「それでいくばい」
「そうだね、じゃあそれでいくよ」
「うちは熊本城にいるたい」
 今のままというのだ。
「それで筑後も牽制しているたい」
「そっちも時間稼ぎに励んでいるね」
「そうとよ、だから雪路ちゃんもたい」
「ああ、時間稼ぎにね」
「頑張るたい」
 こう言ってだ、そしてだった。
 雪路は海からも佐世保に関西の軍勢が迫っているのを確認してだった、陸からも海からもいよいよ攻めて来るその時になって兵達に言った。
「まだここじゃ戦っていないけれどね」
「それでもですね」
「もうこれ以上は」
「ああ、陸と海から一度に来るからね」
 そして空からもだ、飛べる種族や空船達を使ってだ。
「そうなるからね」
「だからですね」
「この佐世保では」
「下がるよ、佐世保の人達にも言っておくよ」
 これで下がると、というのだ。
「私達が長崎に行くことをね」
「それで無駄に関西の軍勢に歯向かうことなく」
「そうしてですね」
「これまで通り平和に暮らす様に言っておかないとね」
 つまり蜂起なぞするなというのだ。 
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