夢幻水滸伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第三十七話 肥後へその二
「佐賀城とはちゃう攻め方で」
「それが一番やな、ただな」
紗枝は考える顔になり瑠璃子にこう言った。
「雪路ちゃん思い切りがええからな」
「退く時もすぐやからな」
雅美も彼女のこのことについて話す。
「佐賀城でもそやったし」
「そやから今度もやな」
最後に由香が言った。
「あっさり退くかも知れんな」
「そうかもな、元々あの娘は時間稼ぎでここにおるし」
紗枝は目を輝かせてこのことを指摘した、このことはもう四人にしても彼女達に軍師として指示を出している芥川もわかっている。
「時間を稼げたらええ」
「うち等と二万の軍勢をこっちに張り付ければええんやし」
時間稼ぎと共にだ、雅美はこのこともわかっていた。
「それやったらな」
「戦う必要はこれといってないな」
由香は雅美のその言葉に返した。
「別に」
「というかやることやってな」
雅美はこうも言った。
「休んでたらええな」
「休めるだけな」
「それでええな」
「その通りやな」
紗枝も二人に同意であった、それも完全に。
「熊本城を囲んで」
「どうせ雪路ちゃんと林先輩は転移の術で日向に行くし」
決戦の時はとだ、瑠璃子はこのことを既に看破していた。
「そやからな」
「うち等としてはな」
「熊本城を囲んで肥後を抑えて」
「それで薩摩との境を守ってればええわ」
そうすればとだ、他の三人も瑠璃子に頷いて言い切った。
「肥後の拠点はまずは人吉城にして」
「九州の戦終わったら熊本城が肥後を治める拠点になるけど」
「とりあえず人吉城やな」
そこに入ろうというのだ、そしてここで雅美が仲間達に話した。
「敵は時間稼ぎだけやしな」
「うち等は激しい戦はあまり考えられんし」
「もたもたせんかったらええ」
「そういうことやな」
別にとだ、他の三人も雅美の言葉に頷いてだった。そのうえで軍勢を佐世保に向かわせていっていた。
この動きは佐世保にいる雪路も知っていてこの街でも時間稼ぎの為の戦をしようとしていた、その彼女に純奈が貝殻で連絡を取って来ていた。
「そっちはどうたい」
「ああ、結構まずいよ」
「やっぱり戦にはならんたい?」
「兵力が違い過ぎてね」
どうしてもというのだ。
「それでだよ」
「予定通り時間稼ぎたいな」
「そうさ、私は正面きって戦いたいけれどね」
雪路は自分の好きな戦い方も言った、いささか苦い感じで。
「けれどね」
「それは出来んたい」
「今はね」
「街の戦いは得意なんだけれどね」
カラーギャングとしてだ、このことにはむしろ野戦よりも自信がある。そしてそれは城内戦でも同じだ。
「けれど数が少ないとね」
「三千じだとばい」
「相手は二万だよ」
「しかも将も結構たい」
「いい加減な連中だけれどやる時はやるから」
例の四人はというのだ。
「やっぱり相手にならないよ」
「そうたいな」
「だから棟梁の考え通りね」
「時間稼ぎたい」
「それしか出来ないよ」
雪路にしてもというのだ。
ページ上へ戻る