夢幻水滸伝
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第三十六話 長崎攻めその十二
「フランス軍を散々に苦しめた」
「相当酷い泥沼になったって歴史にあるな」
「何しろ民衆の中におるんや」
「普通の市民とゲリラの区別がつかんな」
「そやからゲリラを倒そうと思ったらな」
「どうしても民衆を巻き込むな」
具体的には民衆をゲリラと誤認して殺してしまうのだ、これは実際に当時のスペインでよく起こった悲劇だ。
「すると民衆はフランスを憎んでな」
「ゲリラに入るな」
「それでフランス軍を襲う」
「そしてフランス軍はまたゲリラと民衆を一緒に殺す」
「そうしたらまた民衆はフランスを憎む」
「悪循環やな」
「そこにもってくのもゲリラ戦術や」
もっと言えば戦略だ、チトーやホー=チ=ミンはこのやり方で国を守ってはいるが犠牲は多かった。
「そやからな」
「危険やな」
「民衆の中に入ってやったらな」
「僕等も民を疑ってまうな」
「術を使って調べることも出来るけれどな」
「それは出来るか」
「ああ、村全体の眠りの術やらかけてな」
魔術師、日本では陰陽師の術で基礎的なものの一つとされていて戦の時もよく使われている。かなり効果のある術だ。
「そこから身体を調べるとかな」
「ボディーチェックやな」
「家の中とかな」
武器が隠されていないか、というのだ。
「そうしたことは出来る」
「それだけで全然ちゃうな」
安全にチェック出来るだけでもとだ、中里は芥川の話を聞いて言った。
「まだ」
「そやな、けれどな」
「それやっても時間かかるな」
「これも問題や」
ゲリラかどうかを調べる為に村や街全体を調べることもというのだ、芥川は今度は戦略面から話していた。
「相手に時間稼ぐをさせるとな」
「時間が経って状況が変わる」
「それで反撃ってことも有り得る」
「ゲリラ戦術は何かと厄介やねんな」
「民を巻き込むと余計にな」
北原達はそうしたことはしないがというのだ。
「まあ今回は民に化けることだけはない」
「兵隊がやってくるか」
「具足とか着てるな、物陰や家の中や山で襲って来るで」
そうしたゲリラ戦術をしてくるというのだ。
「罠仕掛けたりな」
「そうした鬱陶しいことをさせん為にか」
例え芥川が効果的に対することが出来てもというのだ。
「日向では大勝利を目指すか」
「九州での戦を終わらせる位にな」
「わかったわ、ほなな」
「豊後の府内城を占領して拠点としてな」
「決戦に挑むか」
こう話してそしてだった、一同は軍議を終えて後はラーメンだけでなく他の肴になるものを出して飲みはじめた、そのうえで夜を過ごすのだった。
第三十六話 完
2017・10・1
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