夢幻水滸伝
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第三十六話 長崎攻めその十一
「絶対にな、相手もそれは知ってる筈やが」
「九州でゲリラ戦が出来るのは」
井伏はそれは誰かと考えた、ラーメンをお替わりしつつ。
「雪路ちゃんだけやのう」
「そうや、あの娘はカラーギャングでな」
「街で戦うのも得意じゃ」
「あの娘は出来る、けどな」
「他の星のモンはのう」
「ゲリラ戦は専門やない」
九州の星の他の者達はというのだ、雪路以外の。
「そやからな」
「ゲリラ戦になれば」
「向こうは余計にやばいんや」
「しかも神星じゃしのう」
山本は芥川のこのことを指摘した。
「格が違うわ」
「そうや、こいつもおるしな」
芥川が笑って言うと彼のすぐ隣に九尾の狐が出て来た、神具であり彼のパートナーでもある狐である。
「そうした戦ではや」
「強いのう」
「そや、僕とこいつで勝てる」
「まあご主人は見ているだけでええわ」
狐は笑って一同に話した。
「わしがおるからのう」
「おい、自分だけで出来るんかい」
「そう言われると慢心はあかん」
「そやからやな」
「自分とわしでや」
こう訂正した、実は先程の言葉は軽口で本心ではなかった。
「忍者連中を率いてな」
「戦えるな」
「そして勝てるわ」
「そやな」
「まあゲリラ戦になっても」
狐もこう言うのだった。
「わし等がおるさかいな」
「いける、けれど正直ゲリラ戦ってのは時間かかるんや」
「全部の村や町や山を虱潰しに探していくからね」
玲子はラーメンを食べつつ言った。
「ゲリラを」
「そや、隠れてる連中をな」
「だから時間がかかるね」
「ゲリラは戦場には出ん」
そうした戦術だというのだ。
「村や町や山に隠れてな」
「家だの茂みだの物陰にね」
「九州の連中は流石に民に紛れはせんけどな」
このことはないとだ、芥川は断言した。
「北原も他のモンも民を巻き込むことはせんわ」
「そうした人達じゃあないね」
「そや、ゲリラ戦をしてもな」
それでもというのだ。
「民を巻き込む戦はせん」
「そこは救いだね」
「ゲリラ戦はそこが厄介や」
本来はそうだというのだ。
「ナポレオンの頃からあるやり方やけどな」
「確かスペインであったんやな」
中里は歴史にあるゲリラ戦術のはじまりを話した。
「フランスの統治に反発してな」
「フランス軍は当時欧州一やった」
ナポレオンの下精強を誇った、ナポレオンという軍神とまで呼ばれた将だけでなく彼が鍛え編成した軍隊はまさに欧州最強だった。
「そのフランス軍に正面から戦っても勝てん」
「それでやったな」
「軍服を着んで民衆の中に入ってな」
つまり民衆の服を着てというのだ。
「街や村でフランス軍を襲ってたんや」
「市民にいきなり後ろから撃たれるか」
「こうして戦ってな」
そのうえでだったのだ。
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