転生とらぶる
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ペルソナ3
1933話
2匹のイレギュラーシャドウが、地面に崩れ落ち……やがて、その両方が塵となって消えていく。
いつものシャドウを倒した光景そのままだと言ってもいいだろう。
攻撃を無効化するという……しかも攻撃を当ててもすぐにまた無効化するという厄介な能力を持っているイレギュラーシャドウだったが、向こうにとっての誤算は、俺に精神コマンドという特殊能力があるとは知らなかった事だろう。
……いや、普通に考えて、それを悟れという方が無理だろうが。
そもそも、俺はこのペルソナ世界の人間ではない以上、精神コマンドそのものがこの世界の者に理解出来るとは限らない。
ネギま世界の魔法のように汎用性のあるスキルって訳でもないだろうし。
「ふぅ、取りあえず何とかなった、か」
ゲイ・ボルグを空間倉庫に収納し、周囲を見回し……
「っ!?」
ふと、2階に続く階段の上に見覚えのある相手を発見し、俺は収納したばかりのゲイ・ボルグを再び空間倉庫から取り出して構える。
「ちょっ、アクセル!? 一体、どうしたのよ!」
いきなりの俺の行動に驚いた様子で声を上げるゆかりだったが、俺の見ている方に視線を向けた瞬間、小さく息を呑み……だが、反射的に自分の持っていたショートボウを構える。
そんな様子を見て、他の者達も階段の上の方に視線を向け、動きを止める。
……そう、そこにいたのは、今まで幾度となく俺と戦いながら、結局勝負のついていない相手……死神だったのだから。
だが、今までであれば、死神が姿を現した瞬間に念動力は俺にそれを知らせていた筈だった。
それが、何故今回に限っては何も知らせてこない?
そう思い……だが、すぐにその理由が判明する。
距離を保ちながら俺と相対していても、今の死神には敵意や殺意といったものが一切ないのだ。
それこそ、ただそこに立ってこっちを見ているだけ。
念動力というのは、基本的に俺に対する危険を知らせてくれるものだ。
だが、危険がなければ……それこそ、ただそこにいるだけであれば、それを知らせるような真似はしない。
勿論こちらに攻撃するという意思を見せれば、その時点で念動力はこちらにその危険を知らせてくるだろう。
だが、今の死神には一切そのようなつもりがないのだ。
……何でだ?
今までは、姿を現せば俺を襲ってきていたのに。
「……何の用件だ?」
このままでは事態は停滞してままだと、そう尋ねるも、死神は何も言わず……そのまま、いつものように唐突に姿を消すのだった。
「どうなっている?」
死神が姿を消したのを見て、桐条が俺に尋ねてくる。
間近……という程に近いわけではないが、それでも自分の目で直接死神を見て、その強さを理解したのか、桐条の顔には冷や汗と思われる汗が浮かんでいた。
当然死神を見て動きを止めているのは、桐条やゆかりだけではない。
順平、真田、有里の3人も同様であり、山岸なんかは意識を失って床に倒れてすらいた。
イレギュラーシャドウと戦っている時は、全く存在感を表さなかった死神。
だが、俺達に姿を見つけられると、その存在感を消すのを止めたのか今はその強力な存在感を露わにしている。
それでいながら、敵意や殺気といったものがないのは……正直なところ、何を考えての行動なのか、俺には分からない。
今の俺に出来るのは、出来れば戦いにならないように祈るだけだ。
実際、現在の状況で戦いになれば、他の者達を守りながら戦うというのは俺には無理だ。
守らなければならない相手が多すぎる。
特に、気絶している山岸の存在が非常に厄介なのだ。
せめて、ペルソナ使いだったら、まだ何とかなった可能性もあるのだが……
ともあれ、このままお互いに沈黙したまま向かい合っていても、どうにもならない。
何か行動を起こす必要があるだろうと、俺はゲイ・ボルグを手にしたまま1歩を踏み出す。
……そう、階段の方に向かう1歩を、だ。
そんな俺の行動に、ゆかりは特に何も行動を見せない。
まぁ、ゆかりはずっと俺と行動を共にしてきただけに、戦闘に関しては強い信頼感を抱いていてもおかしくはないしな。
だが、桐条は違う。
いきなりの俺の行動に、死神を前にしたプレッシャーを受けつつも口を開こうとし……
大丈夫だ、という意味を込めて視線を向け、小さく頷く。
そんな行動である程度は俺の言いたい事を理解出来たのか、桐条は結局何を言うでもなく黙り込む。
それを見ながら、俺は階段の前にまで移動し……決して死神から視線を逸らさないようにしながら、1段ずつ階段を上がっていく。
このエントランスの階段は、それこそ人が10人くらい並んでも余裕で上れる程度の広さを持つ。
そうである以上、俺1人で階段を上るというのはどこか妙な感じがするな。
……死神を前にしても、今の俺にはそう思うだけの余裕があった。
そうして1段、また1段と階段を上り……やがて俺の姿は、死神の前に出る。
背中には、ゆかりや桐条を含めて大勢の視線を感じる。
「消えた……?」
背後から聞こえてくるゆかりの声。
その声を聞きつつも、俺は一応警戒を解かずに周囲の様子を窺う。
もしかしたら、こっちの油断を誘う為にそのような真似をしているのではないかと、そう思った為だ。
だが、こうして見ている限りではそのような様子はない。
となれば、本当に撤退したのか?
にしても、何の為にここにいたんだ?
いや、予想は出来る。
俺達とイレギュラーシャドウの戦いを見守っていたのだろう。
同じシャドウなのだから、向こうに手助けしてもおかしくはなかったと思うんだが。
それとも、死神にとってイレギュラーシャドウはイレギュラーであるが故に、仲間ではないのか?
……ないな。
そもそもの話、死神だってイレギュラーシャドウと同様に普通のシャドウとは大きく違う。
転移のような力で現れたり、腕とかを切断されても次に出てくる時には怪我が治っていたり……何より、今のような態度を取るという事は、理性があると言ってるようなものだ。
理性……そう、理性と言っても間違いはないだろう。
「アルマー」
桐条に呼び掛けられるが、俺はそれに黙って首を横に振るだけだ。
死神がどのような意図を持ってここにやって来たのかは分からない。分からないが……それでも、取りあえずのところ、今は俺達と敵対する気はないのだろう。
それには、正直助かったというのが、俺の素直な思いだ。
俺だけの時なら何も問題はなかったが、他にも大勢……ましてや、気絶している山岸もいるのだ。
そうである以上、もしここで戦いになっていれば、非常に面倒な事になっていたのは間違いないだろう。
恐らく何人かには被害が出ていた筈だ。
「どうやら、今回は文字通りの意味で様子見ってところだったんだろうな。それより、山岸を助け出す事には成功したし、満月の夜に現れるイレギュラーシャドウを倒すのにも成功した。となると、もうこれ以上はここにいる必要もないんじゃないか? いつ死神が現れるか分からないんだから、タルタロスを出た方がいい」
「……ふむ、そうだな。正直色々と分からないところは増えたが……それでも、このままここにいて、またあの死神が現れるような事になってはこちらとしても面白くはない、か。分かった。取りあえず寮にでも戻るとしよう。山岸もゆっくりとさせる必要があるしな」
その言葉に真っ先に反応したのは、当然のように有里。
気絶している山岸に近づくと、そのまま横抱き……いわゆる、お姫様だっこで持ち上げる。
見かけだと有里ってかなり細身に見えるんだけどな。
これはペルソナチェンジという能力を持っているが故の事か、もしくは主人公だからこその力か……あるいは、愛故にという可能性もあるだろう。
ともあれ、そのまま山岸を連れて俺達はタルタロスの外に出る。
出たのだが……
「ちょっと……」
タルタロスから出た瞬間、唖然とした表情で呟いたのはゆかり。
当然だろう。もしゆかりが声を上げなければ、俺だって同じような声を上げたのだから。
そう……俺達の視線の先には、本来なら桐条達の住んでいる寮に保護してある筈だった、森山の姿があったのだから。
今は影時間。
だが、そんな影時間の中でこうして動いているという事は、森山もペルソナ能力者なのか?
いや、だが……ああして千鳥足で歩いている様子を見れば、いっそ酔っ払っているようにすら見える。
正直、何がどうしてこうなったのかが全く分からない。
それでも、俺の目から見れば色々な意味で危ない様子に見えるのは間違いなかった。
こっちに向かって、酔っ払い、もしくは夢遊病? の患者っぽい感じで歩いている森山だったが、最初に我に返って指示を出したのは桐条だった。
「伊織、彼女を保護しろ!」
「うぇいっ!? わ、分かりましたぁっ!」
桐条の言葉に、順平は持っていた大剣を放り出して森山に近づいていく。
だそんな順平の態度が切っ掛けとなったのか、千鳥足で歩いていた森山は不意にバランスを崩したかのように地面に倒れかけ……それを、順平が見事にキャッチする。
……その際、順平の口元に笑みが浮かんだのは、倒れかけた森山をキャッチした際にその右手で思い切り胸を鷲づかみにした事と決して無関係ではない筈だった。
何だかんだと、順平も高校生らしく女には興味津々って事なんだろう。
そんな順平の態度に気が付いたのか、気が付いてないのか、ともあれゆかりと桐条はそんな順平に何を言うでもなく、急いで口を開く。
「アクセル!」
「アルマー!」
俺の名前を呼んだだけだったが、それだけで意図は十分に感じ取れた。
それは、俺だけではなかったのだろう。
他の面々も順平のいる場所まで移動すると、すぐに俺は影のゲートを作り出し、次の瞬間には巌戸台分寮の前に到着する。
……ちなみに、この時になれば、当然のように順平は森山の胸からは手を離している。
もし桐条がいなければ、もう少しその感触を楽しんでいた可能性はあるが。
以前聞いた処刑がやっぱり怖いのだろう。
いやまぁ、実際に処刑という名前からして怖くないとは到底言えないんだが。
ともあれ、満月に現れるイレギュラーシャドウを倒したからといって、山岸や森山の件もあるから、はいここでさようなら……なんて真似は出来ない。
個人的にはこのまま帰ってしまいたいという気持ちがない訳でもないんだが、山岸が何故タルタロスで20時間以上も無事だったのか、そして何故森山が影時間の最中にも関わらず棺桶になっていなかったのかといった事が気になる。
そんな訳で、俺とゆかりも寮の中に一緒に移動する。
幸い寮には空室が多くあり、2人を眠らせる場所に困るなどという事はない。
「本来なら3階は女子の部屋で、男の立ち入りは厳禁なのだが……今の状況を考えると、仕方ないだろう」
そう言いながら、桐条は山岸を横抱きにしている有里と、そんな有里の真似をしてこちらも森山を横抱きにしている順平を引き連れ、3階に向かう。
当然ながら、俺とゆかりはこの寮の……正確には桐条パーティのメンバーではない以上、そこまで突っ込んだ真似はせず、1階で大人しく待っていた。
「それで、今更聞くのもなんだが、どうやって山岸を見つけたんだ?」
「山岸を見つけたのは、有里だ。俺と伊織の2人も別々の場所に飛ばされたんだが、途中で合流した。その状況で動き回っている時に、山岸を連れた有里を見つけたんだ」
「……俺としては、シャドウがいる中で20時間以上生きてきた事に驚いたけどな」
真田の言葉に、そう告げる。
実際、それは俺の正直な気持ちだった。
山岸の状況を考えれば、とてもではないが生きているとは思っていなかったのだ。
言葉に出せば、有里の反感を買うだろうから、何も言わなかったが。
「俺もそう思った」
しみじみと呟く真田の様子を見れば、真田も俺と同様もう山岸は死んでいる可能性が高いと思っていたのだろう。
「その理由は聞いてるか?」
「何でも、シャドウのいる方向が大体分かるそうだ。もっとも、それがシャドウだとは明確に理解していた訳じゃなくて、向こうに行けば危ないとか、そんな風に感じていたらしいが」
「それはまた……」
随分と都合のいい能力だとは思ったが、寧ろそのような状況だったからこそ、覚醒した能力なのか? それに山岸の性格も、肉食動物と草食動物のどちらかと言われれば、明らかに後者だ。
だからこそ、危険を察知する能力を身につけた。
そう思うのは、俺の考えすぎか?
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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