転生とらぶる
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ペルソナ3
1934話
俺が空間倉庫から取り出した紅茶を飲みながらゆかりや真田と話をしながら待っていると、20分も経たずに桐条、有里、順平……そして山岸が階段を下りてくる。
ちなみに俺達が飲んでいるのは紅茶だが、その紅茶を渡した際にも真田はプロテインがないのかとか言ってきたので、そんな物はない! と言っておいた。
プロテイン中毒の如き真田には、ゆかりもどん引きだった事を考えれば、その気持ち悪さとでも呼ぶべきものがどれ程なのか理解出来るだろう。
「その、皆さんも私を助ける為に力を貸してくれたと聞きました。ありがとうございます」
俺達を見ると、山岸は深々と頭を下げて一礼する。
「いいのよ、別に。山岸さん……いえ、風花でいい?」
「あ、はい。よろしくお願いします、その……ゆかりちゃん」
照れくさいのか、ゆかりとのやり取りで山岸の頬が薄らと赤くなる。
まぁ、山岸の性格からして、あまり親しい友人とかはいなかったんだろうしな。
だからこそ、森山とかに苛められてたんだろうけど。
「うん、よろしくね。とにかく、風花はよくタルタロスで無事だったわね。聞いた話だと、シャドウのいる場所が分かるんだって?」
「……うん。来て、ルキア」
その言葉と共に、召喚されたのは……ペルソナ!?
召喚器がないのにペルソナを召喚した事そのものは、そこまで珍しくはない。
実際、ゆかりだって最初にイオを召喚した時は、召喚器を持っていなかったのだから。
そのペルソナは、何だか色々と特殊な姿をしていた。
いや、そもそもペルソナ自体特殊な姿形をしている事が多いのだから、そう考えればそこまで珍しい話でもないのか?
だが、このペルソナは色々な意味で珍しい。
何しろ、山岸はペルソナの中……球形の中に入っているような状況なのだ。
そして球形の部分の上からは、女の上半身が生えている……といった形のペルソナだ。
どこからどう見ても、非常に動きにくそうなペルソナだ。
恐らくだが、戦闘になればかなり弱いだろう。
「山岸のルキアは、探査能力に優れたペルソナらしい。……まだしっかりと能力を調べた訳ではないが、聞いた限りでは私のペンテレシアよりは上だと思われる」
桐条のその言葉に、真田が少しだけ嬉しそうな表情を浮かべる。
まぁ、桐条のペンテレシアでは、最近は能力不足になってきてたって話だったしな。
そう考えれば、桐条達にとってはまさに幸運だったという事か。
もっとも、この世界の原作を考えれば、ある意味自然の流れなのかもしれないが。
「なるほど。……にしても、何でここでペルソナの覚醒に?」
俺が知ってる限りでは、ペルソナの覚醒というのは肉体的なショックだったり、精神的なショックだったりといったものが必要だった筈だ。
ゆかりとか、そんな感じだったし。
なのに、タルタロスにいる時に覚醒はせず、何故寮に戻ってきてから覚醒したのか。
その辺り、微妙に気になる感じではあった。
「森山と話をしていた時に、な。もっとも、何を話していたのかは、廊下に出ていた私達には分からなかったが」
そう桐条が告げる。
……恐らく、山岸と森山との間で何らかのイベント的なものでもあったのだろう。
まぁ、それは別に構わない。
桐条パーティに新戦力が1人加わったという事で、戦力的に充実してきたというのは間違いないだろうが。
「なるほど。……取りあえず、これで桐条も慣れないバックアップじゃなくて、タルタロスの探索に参加出来る訳だ。こういう場合、おめでとうとでも言うべきか?」
「ふふっ、どうだろうな」
桐条が少し嬉しそうなのは、その辺も関係しているのだろう。
「その、桐条先輩。風花はともかく、森山さんでしたっけ? あの人は?」
「……ペルソナに覚醒はしていない。明日になれば影時間の時に経験した記憶は失われているだろうな」
「そうですか」
記憶を失うという事を聞いても、特に残念そうな様子を見せないのは、ゆかりが森山に対して良い感情を抱いていないからというのも大きいのだろう。
そこまで考え、ふと思う。
もしかしてこれも原作の流れと違うのでは? と。
次々と攻撃を無効化するスキルを使う、イレギュラーシャドウ。
それに対して、山岸のペルソナは高い探知能力を持つ。
そして山岸がペルソナに覚醒したのは、森山と話している中。
更には、俺達がタルタロスから出た時、何故か森山は影時間だというのにタルタロスの側にいた。
この流れから考えれば……恐らく、本当に恐らくの話だが、原作の流れだと弱点を変えるイレギュラーシャドウにゆかりと桐条が苦戦しているところで、山岸を伴った有里達が合流。そこに森山がタルタロスの中に入ってきて――この辺りの順番は逆かもしれないが――ペルソナを覚醒。
山岸のペルソナでイレギュラーシャドウの弱点がどこにあるのかを調べ、その弱点を突いて勝利する。
こんな流れだったのでは?
だが、この世界には、どのような防御能力も無効化する、精神コマンドの直撃を持つ俺がいた。
それが、山岸の出番を奪う形になった……と考えても、不思議はない筈だ。
いやまぁ、今更そんな事を考えても意味はないんだろうけどな。
山岸のペルソナが覚醒していないのであれば厄介だったが、今はもうペルソナが覚醒しているし。
「とにかく、何だかんだとあったけど、無事に済んで何よりだったな。……可能であれば、昨日の時点で山岸を見つけていれば、今日のイレギュラーシャドウも楽に倒せたのかもしれないが」
「そうか? 結局アクセルが1人で倒してたんだから、何だかんだと一緒だったんじゃないか? ……にしても、一体どうやって倒したんだよ? こっちの攻撃を無効化するような奴なのに」
順平の不思議そうな視線に、他の者達も……それこそ、ゆかりも含めてこちらに視線を向けてくる。
ん? 他の連中はともかく、ゆかりの前で直撃を見せた事はなかったか?
まぁ、直撃ってのは、その驚異的な効果に対して、発動しても何か特殊なエフェクトがあったりといった風にはならない、かなり地味な効果なのは間違いないんだが。
そう考えれば、寧ろ何か特殊な攻撃の類を使ったのではなく、俺が強引に敵の防御を破った……という風に考えてもおかしくはないだろうな。
「俺の持っている切り札の1つ……と言っておくか。ただ、実際にはそこまで強力な代物じゃないけどな」
その答えは、決して間違っている訳ではない。
精神コマンドの直撃は、相手のあらゆる特殊な防御を突破出来るという能力を持っているが、それを使ってもそもそも敵に攻撃を当てる事が出来なければ全く意味はないし、攻撃を当てても敵の防御力を抜く事が出来なければ、こちらもまた意味はない。
結局のところ、直撃は反則的な効果を持っている精神コマンドだが、だからといって無条件でその反則的な効果を発揮出来る訳ではないのも、また事実なのだ。
「それは、俺達にも使えるのか?」
興味深そうに尋ねてきたのは、真田だ。
順平の言葉に、今日の戦闘での事を思い出したのだろう。
俺が見た限りでは、長剣を持っていたイレギュラーシャドウに対して、真田はペルソナを使っても、そして得意の拳を使っても、有効なダメージを与える事が出来ていなかった。
いや、ジオを使って若干ダメージを与えてはいたようだったが、それもすぐに弱点を変えられてしまっていたのだ。
そんな真田にとって、無条件で相手の特殊な防御力を貫通出来る直撃という精神コマンドは非常に魅力的に映ったのだろう。
実際、真田の戦闘スタイルと直撃の相性は決して悪い訳ではない。ないのだが……
「いや、残念だが、これは自分自身にしか使う事は出来ないんだ」
「そう、か。……分かった」
残念そうな真田。
だが、実際この精神コマンドは……いや、待てよ? 今までは俺の知識から、直撃や他の精神コマンドも、自分にしか使えないと思っていたが……もしかしたら、可能だったりするのか?
「悪い、真田。ちょっと試したいから付き合ってくれ」
「何? それは今の話か?」
「ああ。真田に言われるまでは全く思いつかなかったんだが、もしかしたら、本当にもしかしたらだが、真田に使う事が出来るかもしれない。ただ、正直なところ……何も起きない可能性が高いし、ましてや成功してもどんな副作用があるか分からない。それでもやるか?」
「待て。危険があるというのであれば、そう簡単に試すのを認める訳にはいかない」
俺と真田の会話に桐条が割って入る。
まぁ、桐条にしてみれば下手をすれば自分達の戦力が減る可能性もあるのだ。
そう簡単に納得出来る話でもないだろう。
「って事だけど、どうする? まぁ……正直少し驚かしはしたけど、多分何も起きないって可能性の方が高いと思う。それでもやるなら、付き合ってもいいぞ」
「……美鶴、悪いが試させてくれ」
断固たる決意……といった感じで告げる真田に、桐条は少し迷った様子を見せる。
だが、実際にもし俺の直撃が他人に使う事が可能であれば、桐条達にとっても決して悪い話ではないと思ったのか、渋々と頷く。
……それは間違ってないし、実際に直撃を他人に使えれば有効なのは間違いないが……基本的に直撃って、使った後の最初の1発にしか効果がないんだよな。
そうなると、もし使うとすればタルタロスになる前に真田に使っておいて、最初の1発のみが直撃の効果……って事になるんだが。
その辺、どうなんだろうな。
まぁ、精神コマンドを使えるかどうかで、その辺は大きく変わってくるが。
「分かった。だが、危険を感じたらすぐに止める。それでいいのであれば、試してくれ」
結局真田の言葉に押し負けたのか、桐条が実験を許容する。
他の面々も俺の切り札については興味があるのか、こっちに注意を向けていた。
そんな中、真田は俺の側に近づいてくる。
「それで? 俺はどうすればいい?」
「別に真田が何かをする必要はない。今から俺がお前に切り札を使えるかどうかを試してみるから、それで何か……そう、身体に不思議な力が漲るとか、そういう風になれば恐らく成功だ」
恐らくと表現したのは、実際に何らかのバリアを持つ敵に対して攻撃をしてみなければ、それが通じるかどうか分からないからだ。
この中で試すとすれば……やっぱり俺か?
いやまぁ、混沌精霊の能力があれば、ただの物理攻撃は全く無意味なのは間違いない。
だが、攻撃を食らえばその部分が白炎となるのを、周囲に見せる事になる。
それは、出来れば今の時点ではあまり好ましくはない。
特にここは桐条達……正確には幾月の住んでいる場所だ。
間違いなくここにも監視カメラの類が仕込まれているだろうし、それを考えれば、こちらとしてはそのような場所で俺の秘密を見せる気はない。
まぁ、直撃を見せるのはどうかと思うが……混沌精霊とは違って、精神コマンドは地味だし、何より既にタルタロスで披露しているというのが大きい。
ともあれ、それもこれも精神コマンドを使えてからの話か。
「真田、俺に背中を向けてくれ」
「分かった、これでいいか?」
そう言い、真田は俺に背中を見せる。
正直なところ、別に背中でなくてもいいのだろう。
だが、何となくそっちの方が俺にとってもやりやすいという意識があった。
こういう場合、その感覚は大事だろう。
そんな真田の背中に手を触れ……精神コマンドの効果が真田に向かうようにと考え、口を開く。
「直撃」
そう呟き……直撃は発動するも、発動したのは俺が触れている真田ではなく、俺自身にだ。
「真田先輩、どうっすか!?」
勢い込んで尋ねる順平だったが、真田は自分の両手を見て首を横に振る。
「駄目だった。……だろう?」
「ああ。俺の方に発動している」
そう言いながら、軽く真田の背中を叩く。
それで直撃の効果は発揮され、消えていった。
当然今の一撃で真田が吹き飛ぶといった事はない。
直撃の効果は、あくまでも特殊な防御を無効化するというものだ。
軽く叩いた程度であれば、その衝撃と共に直撃の効果も消えるのは当然だった。
……友情とか信頼とか、期待とか感応とか、そういう他人に使える精神コマンドがあれば、他人に使うという感覚も分かったのかもしれない。
だが、俺の場合は加速、努力、集中、直撃、覚醒、愛と、見事なまでに自分だけに効果がある奴だけなんだよな。
「そうか。……残念だ」
心の底からそう言う真田。
「まぁ、実際他人に使えるとしても、そう便利なものじゃないぞ?」
そう言い、直撃の効果……使った後の攻撃1回だけにしか効果がない事を告げる。
それを聞いた真田は、微妙な表情を浮かべる事になる。
……まぁ、実際、自分に使うという効果なんだから、その辺りは当然かもしれないんだがな。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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