八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十八話 忘れられないものその三
「だからね」
「お父さんの仕送りまではいいのね」
「その分が親父が使えばいいし」
そうも思ってた。
「送り返してるんだ」
「くれるものは貰っておけばいいんじゃ」
「そういうの好きじゃから」
僕はこのことは真剣な顔で言った。
「だからね」
「それでなの」
「そう、返してるんだ」
その親父にだ。
「そうしてるんだ」
「そうなのね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「親父は借金はしないけれど」
それでもだ。
「宵越しのお金は持たない主義だから」
「遊ぶのね」
「そう、遊んで遊んでね」
お酒に女の人にとだ。
「そうして過ごす人だから」
「生粋の遊び人でもあるの」
「そうなんだ」
これがだ。
「それで一族でも問題児だから」
「遊び過ぎで」
「昔かららしいから」
結婚して僕が生まれる前からだ。
「とにかくお酒と女の人で」
「そうした遊びに熱心で」
「それでなんだ」
「お金もなのね」
「使ってね」
それこそあればあるだけだ。
「なくなったらまた稼ぐ」
「そんな人なの」
「まさにね」
「豪快さんね」
「うん、まあね」
豪快さんというとだ。
「そうなるね」
「俳優さんみたいな」
「昔のね」
日本のだ。
「勝新さんとかね」
「勝、ええと」
「勝新太郎さんっていったんだ」
「その人もそうだったの」
「物凄い遊び方していたんだ」
その遊び方は僕も聞いている。
「人を連れて行ってね、その人だけじゃなくお店の人全員に奮発して」
「お金使って」
「そうして遊んでいたんだ」
聞くところによるとだ。
「昔の俳優さんはそんなのだったんだ」
「日本でもそうなの」
「親父もそうらしいし」
一族の人に聞いた、苦笑いで僕に話してくれた。
「物凄い手術をいついも成功させてね」
「凄いお金貰って」
「人を連れてお店の人まで含めて」
本当に勝新さんみたいにだ。
「遊んでいるってね」
「ただ遊ぶだけじゃないんだね」
「だからそっちのプロだって言われているんだ」
遊びのだ。
「お医者さんとしてはブラックジャックでね」
「あの漫画ね」
「色々言われてる人だよ。けれど道は踏み外さないから」
暴力や借金や人妻さんや彼氏持ちの人には手を出さない。
「そこはいいよ」
「義和の面倒も見てくれて」
「それでね」
筋は通っている親父だとだ、イタワッチさんに話してだった。僕はイタワッチさんと一緒に食堂に向かって御飯を食べた。
そのうえで今日も部活に行こうとすると。
雨が降ってきた、それで傘を取りに行こうと玄関に戻ったら。
そこにテレサさんがいてだ、傘を出しつつ僕に言ってきた。
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