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レーヴァティン

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第三十六話 北の街その九

「こちらの世界のバイキングは」
「ああ、そうみたいだな」
「我々の世界のバイキングよりも」
「むしろな」
「モンスター達とも戦い海ではなく湖で活動をする」
「川を行き来するのはどっちの世界でもだな」
 そうして欧州中を動き回ったのだ、果てはビザンツ帝国まで辿り着き皇帝の親衛隊にまでなっている。
「それは」
「そうですね、持っている武器も剣に槍に斧、そして鎚と」
「こっちの世界と大体一緒だな」
「はい、そしてどうも」
「バイキングの中にまた一人いるな」
「我々の仲間が」
「じゃあそっちにも行くか」
 久志は考える顔になり言った。
「バイキングの方にも」
「是非そうしましょう」
「さて、それで問題の六人目だけれど」
 源三は彼の話をした。
「ここのさらに北、極北にね」
「いるみたいだな」
「今はね」
「流離いの戦士らしいな」
「うん、あちこち回ってモンスターを倒している」
「一匹狼の戦士か」
「相当な強さのね」
 こうした話を街のあちこちを歩いて集めたのだ、それはこのサウナの中でもだ。大きなそれも交易の中心地だと情報も集まりやすい。多くの者があちこちから集まるからだ。
「斧を持った」
「そしてその斧はな」
「相当大きなとんでもない重さと切れ味の」
「凄い目立つものらしいな」
「桁外れの刃の巨大さでござるな」
 最後に進太が言ってきた。
「その斧を持つ大男となるとでござる」
「目立つな、じゃあさらに北に行って探すか」
 久志は考える顔になって言った。
「そうするか」
「決まりですね」 
 順一は久志に確かな顔で応えた。
「それでは」
「ああ、じゃあ風呂から出たらな」
「宿を引き払ってですね」
「さらに北に行くか」
 即ち極北にというのだ。
「そうするか」
「そうしましょう」
「ここよりずっと寒いだろうけれどな」
「それは間違いないね」
 淳二は久志の今の言葉に笑って返した。
「ここはまだ北の地域でもね」
「まだましな場所だよな」
「寒さがね」
「北の入り口みたいな街でな」
「もっとだよ」
 ここからさらに北に行けばというのだ。
「寒いよ、それもね」
「遥かにな」
「だからね」
「そこに行こうと思えばな」
「覚悟が必要だよ」
「防寒もな」
「そう、それもね」
 今でかなりのものだがというのだ。
「これまでよりもさらに必要だよ」
「そうだよな」
「服をもっと買って」
 厚い服をだ。
「そうしてね」
「防寒をしてだな」
「行かないとね」
「じゃあもう一枚買うか」
 それ位はというのだ。
「厚いコートを」
「そうしようね」
「ああ、後な」
「後?」
「酒もな」
 こちらの話もだ、久志はした。
「ウォッカでもな」
「うん、今のウォッカよりもな」
「強いのを買うか」
 アルコール度の高いものをというのだ。
「そうするか」
「そうそう、お酒もね」
「もっと強いのをな」
「九十七度位のを」
「それ酒じゃねえだろ」
 淳二からその度数を聞いてだ、久志は顔を顰めさせて返した。 
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