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レーヴァティン

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第三十六話 北の街その十

「もうな」
「アルコールそのものだっていうんだね」
「九十七度なんてな」
「これがこの世界にもあるんだよ」
「そうなのかよ」
「この街の酒屋に売ってたよ」
 実際にというのだ。
「この世界にもね」
「そうなんだな」
「おいら達の世界じゃポーランドに売ってるし」
 東欧のこの国にというのだ。
「あのキュリー夫人のね」
「そこでその人出すか」
「だってポーランドといえばこの人じゃない」
 それでと返す淳二だった。
「何ていってもね」
「他はショパン、そしてコシューシコか?」
 正式名称はコシュシェシコという、ポーランドを守る為に必死に戦った英雄であり今もその名前を残している。
「日本でも有名はポーランド人って」
「その人リトアニア人だから」
「ああ、そうだったんだな」
「ポーランドと仲のいいね」
「昔一緒の国だったしな」
「今も仲いいしね」
 交流が極めて深く相互援助の状態にある。
「その人はリトアニア人だよ」
「そうだったか」
「うん、まあとにかくね」
 ポーランド人というと、というのだ。
「キュリー夫人だよ」
「その人だっていうんだな」
「そうそう、偉大な科学者だよ」
「まあ二回もノーベル賞貰ってるしな」
「偉大な人だよ、美人さんだったしね」 
 ポーランドは美人が多いことでも知られている国だ、キュリー夫人もその一人だったというのだ。実際に残されている写真を見ると整った顔立ちをしている。
「それでそのポーランドにね」
「そんな酒が売られてるのかよ」
「九十七度のね」
「そんな酒でもないとか」
「乗り越えられない寒さだよ」
「そういえばポーランドも寒いか」
「あそこも半分北欧だし」 
 無二の盟友であるリトアニアと共にというのだ。
「バルト海に面していてね」
「寒いってことか」
「だからそうしたお酒もあるんだよ」
「成程な、じゃあそのウォッカも買ってな」
「六人目探しに行こうね」
「そうしような、それとな」
 さらに言う久志だった、ここで。
「カイロも買っておくか」
「それは必須だね」
「あと馬や驢馬の為の防寒の何かも買うか?」
 そうしておこうかというのだ。
「そうしておくか」
「馬や驢馬は基本寒さに強いよ」
「いや、それでも限度があるだろ」 
 こう淳二に返した。
「幾ら何でも」
「北極並に寒いと思ってる?極北は」
「そうだろ、オーロラが出るから」
 そうした場所だからというのだ。
「それ位寒いだろ」
「それでなんだ」
「多少以上値が張ってもな」
 それでもというのだ。
「買っておくか、魔法のものでもな」
「あればだね」
「馬や驢馬も仲間だろ」
 冒険のそれだというのだ。
「だからな」
「大事にしないと駄目だから」
「そういうのも買っておくべきだろ」
「じゃあ魔法の鞍でね」
 ここで言ってきたのは源三だった。 
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