夢幻水滸伝
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第三十五話 筑後を抑えその二
「あそこを動脈にしてうちの国力を使ってな」
「戦ってそしてやな」
「勝つんや、飯もたらふくあるし」
「武器も弾薬もどんどん来るな」
「それで戦う、僕等もな」
「わかったわ」
中里は芥川の言葉に笑顔で頷いてそのうえでだった、総大将として七万の軍勢を率いてまずは豊前に向かった。そして瑠璃子達四人もだ。
まずは筑後に向かった、瑠璃子は他の三人に進軍しつつこんなことを言った。
「ほな今からな」
「まずは筑後手に入れてな」
「それから肥前やな」
「あそこ攻めるか」
「一番の目標は長崎や」
この街だとだ、瑠璃子は由香と紗枝、雅に言った。
「そうなるわ、あと雅ちゃんな」
「どないしたん?」
「東海の司馬先輩と名前一緒やったな」
「そういえばそやな」
雅も言われて気付いて蛙の顔で頷く、その仕草は愛嬌があって妙に可愛らしい。
「うちあの先輩と名前一緒や」
「苗字はちゃうけどな」
「ほな一緒の勢力になったら間違える人出るな」
「種族はちゃうけどな」
こちらの雅は蛙人、そしてあちらの雅はダークエルフだ。外見は全く違う。もっと言えば職業もだ。
「そやな」
「そこ何とかせなあかんな」
「ほなこっちの世界だけ名前変えるわ」
こちらの雅はすぐに決めた、その対応の仕方を。
「うち今から雅美にするわ」
「雅美ちゃんか」
「この名前にするわ」
「美が付いたな」
「いや、うち美形やから」
自分で自慢しての言葉だった。
「そやからな」
「雅美ちゃんか」
「この世界限定でな」
そう改名したというのだ。
「声優さんの芸名みたいでええやろ」
「そういえば結構ちょっと名前変えてる声優さんおるわ」
由香は雅あらため雅美の言葉を聞いてこう言った。
「何とかさんって名前がほんまは何とか子さんとか」
「本名では子が付くん」
「そうした人もいたりするで」
こう紗枝に話した。
「声優さんは」
「そやねん」
「ふうん、名前が違うんやな」
「あと苗字が一文字違ったりとか」
「そういう場合もあるん」
「芸名は縁起担ぐことが多いから」
画数によるそれを考慮することも多い、それで声優さんにしても俳優さんにしても自分の芸名を最初は誤字と思うこともあるらしい。
「それでな」
「名前変えるねんな」
「そやねん、そやから雅美ちゃんもな」
「芸名やな」
雅美自身が笑って話した。
「こっちの世界だけの」
「ええな、ほな私等もな」
「そういうのあってええな」
「林ブリジカット由香とか」
「野上ソーニャ紗枝とか」
「ええな」
「結構エレガントやな」
二人で勝手に盛り上がっていた、するとここで瑠璃子も言った。
「よし、うちは田辺瑠璃や」
「子が消えただけやん」
「それだけやん」
「いや、声優さんの芸名風にな」
そうしたとだ、瑠璃子は由香と紗枝に言った。
「そうしてみたんやけど」
「そうなん」
「それでなん」
「そうしたけどええやろ」
「まあそれはそれでな」
「ええかも知れんな」
決して否定せずに返した由香と紗枝だった。
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