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夢幻水滸伝

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第三十五話 筑後を抑えその一

               第三十五話  筑後を抑え
 大宰府、博多、そして福岡城を拠点にした関西の軍勢は補給と将兵の治療と復活そして物資の集結を終えてだった。万全の状況にして次の行動に移った。
 中里は芥川達と共に豊前、豊後から日向に向かい大宰府の守りは夏目が務めることになり例の四人は筑後から肥前に進むことになった。そして海は。
「私は港に残りだな」
「そや、何時でもや」
 芥川が出陣の時に夏目と共に見送りに来た吉川に話した。
「出陣出来る様にしてな」
「そうしてだな」
「船を出してな」 
 そしてというのだ。
「敵を陽動することもや」
「しておくことだな」
「そや」
 それでというのだ。
「そうして陽動もな」
「しておくことだな」
「又吉がおるからな」
 九州の軍勢の水軍のことも頭に入れてのことだった。
「連中の水軍は自由にさせん」
「わかった、その為にな」
「陽動頼むで、それで日向での決戦の時にもな」
「海からだな」
「艦隊を見せて相手の陽動を頼む」
「北原達はそれで動揺するとは思えないが」 
 高城で戦うとなれば内地だ、海から攻められない。だから艦隊を出しても意味はないのではというのだ。
「それでもか」
「そや、北原達が動揺せんでもやろ」
「将兵達は違うからか」
「ある程度でもな」
「動揺を狙うか」
「そうしてもらうわ」
「わかった、ではな」
 吉川は芥川に頷いて応えて理解したと返した。そして中里はその二人の横で夏目に対して告げていた。
「ほな自分はな」
「ここに残ってでおじゃるな」
「後方からの補給とや」
「占領した場所の政でおじゃるな」
「そういうのを頼むわ」
 こう彼に話した。
「ええな」
「大事な仕事でおじゃるな」
「そや、補給と内政やからな」
「その二つが出来てこそでおじゃるな」
「こっちも攻められる、そやからな」
「十二分にやらせてもらうでおじゃる」
 これが夏目の返事だった。
「この大宰府から」
「そうしてもらうで、ほな僕等もな」
「ああ、行くで」
 芥川も言う。
「南にな」
「わかったわ、しかし物資の流れがええな」
 中里はここであらためてこのことを思った。
「かなりのもんがどんどん来るわ」
「瀬戸内の制海権握ったからな」
「それで関西と四国のものがその瀬戸内から来てやな」
「そんで山陽と山陰のものが来る、その流れの全部を大坂におる中原がやってくれてるからな」
「この戦は大坂からか」
「大坂、それに堺に神戸あと岡山に松山、広島とな」
「瀬戸内の街も全部使ってか」
「どんどん送ってきてるからな」
「これだけか」
「そや、うちの国力を使ってる」
 その中のかなりのものをというのだ。
「この戦にはな」
「戦は総力戦やな」
「そや、戦場で戦うんやない」
「その勢力、国家の総力やな」
「それを使って戦うものやからな」
 それ故にというのだ。
「瀬戸内からものをどんどん送ってるんや」
「そやからこれだけやねんな」
「そういうことや、瀬戸内は大きいで」
 この海の存在は自分達にとってとだ、芥川は中里に笑って話した。 
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