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夢幻水滸伝

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第三十四話 博多と大宰府その十四

「そう言うしな」
「兵で囲んで無視出来たらやな」
「それに限るわ」
「要塞でもそやな」
「攻めなあかん状況でもないとな」
「放置してやな」
「先に進んだらええ」
 あえて攻めずにというのだ。
「下手に損害出して時間かけるよりもな」
「無視してやな」
「先に進むべきや、熊本城も同じや」
「無視出来たらか」
「下手に攻めんことや」
「それで囲むだけやな」
「そうしとく、この連中は怠け者やからな」
 ここでまた四人を見て言う芥川だった。
「その点はしっかりしてくれる」
「いや、怠け者って」
「そやから攻めへんって」
「ちょっとあれちゃいます?」
「酷い言い方ですわ」
「この場合はええねん」
 こう四人の反論に返した。
「有能な怠け者ってことや」
「つまり状況を見て怠ける」
「そやからですか」
「ええんですわ」
「攻めても意味なかったら攻めへんから」
「そや、この場合は褒め言葉や」
 怠け者ということはというのだ。
「別にな、あと有能な怠け者とか無能な働き者とか言うやろ」
「確かゼークトの言葉でしたね」
 織田がすぐに応えた。
「そうでしたね」
「そやったな、仕事をするにあたっての人間の区分やな」
「最高は有能な働き者でしたね」
「それで有能な怠け者、無能な怠け者、無能な働き者って続く」
「無能な働き者は余計な、有害なことをするから最も駄目でしたね」
「これは適材適所次第や」
「つまりそいつに相応しい場所に置くんやな」
 中里は芥川の言いたいことをすぐに理解して言った。
「そやな」
「そや、無能な働き者は向いてる仕事につけたらええ」
「有能な働き者に変わるか」
「無能な怠け者は有能な怠け者になる、しかしや」
 ここでだ、芥川はその目を厳しいものにさせてこうも言った。
「その四ランクの下にまだある」
「それはどういう奴や」
「屑や」 
 その厳しくなった目で言った。
「その人間性がどうしようもないまでに腐り果てた奴や」
「たまにおる連中か」
「こうした連中は何処におっても人に害を為す」
 適材適所という言葉は当てはまらない、どの場所にいても悪事を働くなり組織を腐らせるなりするというのだ。
「そうするからな」
「屑は配置換えをせずにか」
「もう追い出すか消すべきや」
「そうするだけか」
「そや、性根の腐り果てた奴はな」
「絶対にか」
「あかん、組織はそんなものや」
 芥川が考えるにはだ。
「そうするべきや」
「そやねんな」
「そや、まあこの四人は怠け者で屑やない」
 そこは違うというのだ。
「そやからええ」
「そやな、いい加減で怠け者であってもな」
 中里も四人を見て話す。
「屑やないな」
「そやからええねん」
「何かうち等滅茶苦茶言われてるな」
「怠け者だの何だのって」
「屑やないって言われても」
「そら屑は問題外やけど」
「そやから屑やなかったらええやろ」
 また四人に言った芥川だった。
「屑やったら最初から使わんわ」
「けれど何か傷付きました」
「怠け者とか何とか」
「特別に報酬欲しいですわ」
「何か下さい」
「減俸するぞ、そんなん言うたら」
 芥川は文句を言う二人に憮然とした顔で応えた。
「全く、まあとにかく補給とか兵隊の治療が終わったらな」
「軍を二つに分けてやな」
「行くで」
 中里にも応えてだ、関西の軍勢は四国攻めの次の段階に移る用意に入った。本州から次々に物資が送られるのを見つつ。


第三十四話   完


                   2017・9・16 
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