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夢幻水滸伝

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第三十四話 博多と大宰府その十三

「高城、そしてだ」
「耳川や」
「我々の世界では島津家と大友家の決戦があった」
「それで島津家が乾坤一擲の奇襲を仕掛けて勝った」
「必殺の釣り野伏せの戦術を仕掛けてな」
「沖田畷てもやったけどな」
「だからだな」
 あらためて芥川に言った。
「奇襲にはだな」
「警戒して行くべきや」
「その通りやな」
 中里も言ってきた。
「向こうの方が数も少ないしな」
「それで地の利は向こうにある」
「尚且つここで負けたら九州は日本統一を諦めなあかん」
「そうした状況やからな」
「仕掛けてくる可能性は高いな」
 奇襲、それをだ。
「そやな」
「どう考えてもな、それでな」
 芥川はさらに話した。
「十万の兵のうち一万をこの大宰府やらに置いてな」
「水軍もやな」
「そや、肥前と筑後、肥後には二万の兵を向けてや」
「七万で日向に向かうんやな」
「豊前、豊後からな」
 その二国を併合しつつというのだ。
「そうするで」
「七万か」
「そうするで」
「ではその二万は誰が率いるぜよ」
 正岡が芥川にこのことを聞いてきた。
「一体」
「それはな」
 芥川はここで傭兵の四人を見て言った。
「自分等に行ってもらうか」
「うち等ですか」
「うち等が九州の西ですか」
「そっちに行くんですか」
「そうしろっていうんですか」
「そや、兵はそれぞれ五千ずつ率いてもらう」
 二万の兵を四人に合わせて四等分してというのだ。
「そうしてもらうで」
「わかりました、ほなです」
「いつも通り連携して攻めていきます」
「四人でそれぞれ」
「熊本城までいきますわ」
「熊本城は攻めたらあかんからな」
 芥川は四人にこの城のことを話した。
「ええな」
「あの城はですか」
「攻めたらあきませんか」
「理由はわかるやろ」
 何故熊本城を攻めてはならないかをというのだ。
「あそこは九州一の堅城やからな」
「下手に攻めても損害を出すだけ」
「そやからですね」
「攻めたらあかん」
「囲むだけですか」
「そや、一万の兵で囲んでな」
 そうしてというのだ。
「そしてや」
「残り一万で、ですか」
「肥前、筑後、肥後を抑えて」
「そうしてですか」
「薩摩や大隅には入らへんのですな」
「そや、海岸を注意するんや」
 その一万の兵でというのだ。
「水軍を動かしてくる可能性もあるしな」
「又吉君のあれですな」
「確かにそれで来ることは考えられますね」
「ほな熊本城は攻めへんで」
「海岸注意しときます」
「そうしてもらう、熊本城も九州を手に入れたら自然とこっちのもんになる」
 九州全土が関西の領土になるのでだ。
「そやから攻めることはないわ」
「そういうことやな、堅城は下手に攻めるなや」
 中里がここでまた言った。 
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