夢幻水滸伝
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第三十四話 博多と大宰府その十二
「うちが入るたい」
「お願いします、そうして」
「肥前、肥後はたい」
「暫く陽動をし時を見て」
「星のモンは日向に集まる」
「九州の軍勢の主力と共に」
「そうして勝負を挑みます」
関西の軍勢に対してというのだ。
「ここで彼等の軍勢に大打撃を与えられれば」
「戦局は変わるでごわす」
北原は言い切った。
「そうなるでごわす」
「はい、しかし」
「逆になってしまえば」
つまり九州の軍勢が大敗すればだ。
「その時はです」
「最早でごわすな」
「我々は諦めるしかありません」
「日本統一の夢を」
「それを」
「そうでごわすな」
「この一戦に全てがかかっています」
まさにというのだ。
「我々にとって」
「その通りでごわす」
北原もこう返す。
「それではでごわすな」
「はい、高城での戦いにです」
「全てを賭けてでごわすな」
「向かいましょう」
こう言ってだ、そしてだった。
九州の軍勢は次の戦いで決戦を挑むことにした、それは彼等の全身全霊を賭けたものになるのだった。
そのことは関西の方もわかっていた、それで芥川が九州攻めに加わっている星の者達を大宰府に集めて言った。
「多分次でや」
「決戦やな」
総大将の席にいる中里が軍師の席に座って言う芥川に応えた。
「いよいよ」
「そや、ただその前にやることがある」
「肥前とかにも兵を進めるか」
「そしてその肥前と肥後を手に入れる」
この二国をというのだ。
「熊本城の北までな」
「熊本城以外は手に入れておきたいな」
ここでこう言った中里だった。
「肥後も」
「そやな、しかしな」
「肥後はそうしてもやな」
「薩摩や大隅にはや」
北原の本拠地であるこの二国にはというのだ。
「入るのはな」
「せんな」
「熊本城を囲んで肥後を抑える位にしてや」
「戦力は優先的に主力に向けるか」
「星のモンも肥後方面に送るにしても」
即ちそちらに向ける将はというと。
「主力やない」
「主力はあくまで決戦に向けるか」
「そや、九州の軍勢は日向に主力を置いてる」
「そやからそっちにやな」
「向ける、肥前と筑後、肥後を攻めながらな」
「日向での決戦の用意をするか」
「そうする、肥前を抑えて肥後に兵を向ける時は」
その頃にはというのだ。
「主力も日向に向かうで」
「この大宰府からに豊前、豊後に進んでやな」
「日向や」
この国だというのだ。
「そうするで」
「わかったわ、日向での決戦か」
「そうなる、それでここでわかるやろ」
「日向といえばだ」
水軍を率いる吉川も今は大宰府にいて軍議に加わっている、それでここで芥川に応えて言ったのである。
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