夢幻水滸伝
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第三十四話 博多と大宰府その十一
「薩摩、大隅の複雑な海岸線から上陸することになりますが」
「それならばです」
又吉がすぐに言ってきた。
「僕の水軍の出番ですね」
「そうです、小舟を多く使い」
「攻めて来る敵の艦隊を攻める」
「そうした海におけるゲリラ戦術で対することが出来ます」
「そうなりますね」
「これは肥前等でも同じです」
雪路の拠点であるこの国でもというのだ。
「あの国の海岸も複雑ですので」
「あそこならよく知ってるよ」
その雪路も言ってきた。
「だからね」
「攻めてくればですね」
「ああ、迎え撃つことが出来るよ」
「そうですね、ですから」
「肥前に海から来ることはないね」
「そうです、肥前を攻めるにすれば陸からです」
そうなるというのだ、関西の軍勢からすれば。
「そして肥前を攻め落とさずに肥後を攻め落とせません」
「横から攻められるからね」
「はい、ですから」
その通りだとだ、美鈴は雪路に話した。
「肥後方面からくるなら」
「肥前を攻め落としてから」
「そこから来ますが肥後には熊本城があります」
「あの城は九州随一の城でごわす」
北原が言ってきた。
「そう簡単には攻め落とせないでごわすよ」
「そうです、あの城は関西の軍勢の数と装備と星の者達を以てしても」
「容易には攻め落とせないでごわすな」
「我々もいますので」
ただ堅城があるだけでなく、というのだ。
「ですから」
「肥後から来ることはでごわすな」
「やはりあまり考えられません、一応肥前を抑え熊本城のすぐ北まで来ても」
「それは陽動、主力ではないでごわすな」
「主力は日向に来ます」
自分達が今いるこの国にというのだ。
「そしてこの国において」
「決戦となるでごわすな」
「そうなります、海から攻めてきても」
それでもというのだ。
「ここにいる我々を倒さずにはいられません」
「日向を抑えそうして薩摩や大隅に入るにしても」
「他に手はありません」
関西の軍勢にとってはとだ、美鈴は読み切った目で断言した。
「彼等は」
「ではでごわすな」
「はい、肥後にはある程度の兵を向け」
そしてというのだ。
「熊本城を守り」
「そしてでごわすな」
「我々はここで、です」
日向においてというのだ。
「敵を迎え撃ちます」
「そうして勝つでごわすな」
「敵の軍勢を徹底的に叩き」
そしてというのだ。
「北に押し返していきましょう」
「大宰府や肥前はその時に奪い返すでごわすな」
「そうします」
今は彼等に奪われこれから奪われるであろうこの国々もというのだ。
「暫くは肥前の兵達に陽動なりをさせますが」
「じゃあ暫くそっちに行ってるね」
雪路が笑って美鈴に申し出た。
「そうするね」
「はい、その様に」
「そして熊本城には暫くはたい」
純奈も申し出て来た。
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