夢幻水滸伝
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第三十三話 強行上陸その九
分身の術を使った、一気に五人になってそうして芥川に言った。
「こうするでごわす」
「ほう、分身の術か」
「驚かないでごわすか」
「そうした術もあるし星の奴はあらゆる系統の術を覚えられる」
この二つからとだ、芥川は北原に答えた。
「そやからな
「特にでごわすか」
「驚くことはせんわ、いちいち驚いててそもそも軍師が出来ん」
軍師は常に冷静であれ、狼狽していてどうして策を立てられようか。
「ちゃうか?」
「その通りでごわすよ」
「そやから驚きはせんわ」
こう北原に返すのだった。
「特にな、ほなあらためてやるで」
「ではでごわす」
北原は今度は遠間から振った、下から上に。そうして竜巻を出してそれを芥川にぶつけんとする。だがそれもかわし反撃の手裏剣を浴びせる芥川だった、二人の攻防は続いていた。
中里もだ、美鈴と闘っているが。
式神を飛ばし八房とも連携を取って自分と五分に渡り合う彼女にだ、両手にそれぞれ刀を持ったまま言った。
「接近戦も見事やな」
「そちらもですか」
「ああ、そこの白犬君もな」
「八房です」
八房は中里に礼儀正しく返した。
「覚えておいて下さい」
「ああ、八房か」
「はい、それが私の名前です」
「わかった、八房やな」
「そうです、そこでぼけないのはお見事です」
「そういうキャラちゃうからな」
だからと返す中里だった。
「僕は」
「左様ですか、それでなのですか」
「そや、名前ほんまに覚えたからな」
「それでは。あらためて向かいます」
八房は宙を翔け中里に襲い掛かる、美鈴はそこで式神の紙を出して陰陽術の術を唱えそうして最後に言った。
「救急如律令!」
「来たか」
自分に迫る八房を見つつだった、中里は。
美鈴が式神、無数の烏達を放ったのを見てだ。即座にだった。
両手にそれぞれ持つ刀を構えて己の身体を駒の様に回らせてそうして刀も振るってだった。周りに凄まじい気と雷の嵐を起こし。
その嵐で式神を封じ八房もだった。
寄せ付けない、八房は空中で動きを止めてそのうえで主の傍に戻ってその主に言った。
「あれではです」
「近寄れないわね」
「はい」
その通りだというのだ。
「これでは」
「咄嗟にああした動きを放つとは」
「恐ろしい方ですね」
「全く以てね、しかし」
「しかしとは」
「貴方今突進から急に動きを止めてここに戻ってきたわね」
八房のその動きに言うのだった。
「それも動きが瞬時に止まったわね」
「それが何か」
「ヘリでもそんな動き出来ないわよ」
美鈴は彼女の世界の話もした。
「よく出来たわね」
「神具なので」
八房は主に平然と返した。
「ですから」
「そういう問題かしら」
「瞬間移動出来るので、私は」
「そういえばそうだったわね」
「それを応用してです」
「瞬時に動きを止めて」
「そして戻ってきました」
そうしたというのだ。
「咄嗟に瞬間移動を行い、その場で」
「瞬間停止としたの」
「そして戻ってきました」
「原理がわかったわ、しかし見事とね」
「褒めて頂きますか」
「正直驚いたわ」
主である自分もというのだ。
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