夢幻水滸伝
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第三十三話 強行上陸その八
「あちらの世界ではお友達同士ですしね」
「ああ、一年の時は一緒のクラスやったしな」
「あの時はどうも」
「色々助けてもらったわ、同じ放送委員としてな」
「私もです、ではそのクラスメイトそして放送委員同士として」
「やろか」
「そうしましょう」
二人も対峙した、そしてだった。
芥川もだ、左手に大通連を逆手に持ち右手に三光手裏剣を出してだ。対峙している北原に対して言った。
「やろか」
「望むところでごわす」
「自分等も仲間に欲しい」
「それはこちらもでごわす」
北原も負けじと返す。
「おまんさあ達を仲間に欲しいでごわす」
「お互いそこは一緒やな」
「ただおいが棟梁でごわす」
北原は金棒を手に芥川に返した。
「それは絶対でごわす」
「言うのう、僕は綾乃ちゃんこそが棟梁やと思うてる」
関西の棟梁である彼女こそがというのだ。
「日本ひいては太平洋のな」
「そしてこの世界の」
「そや、あの娘の器は尋常やないで」
「将の将たる器でごわすな」
「そや」
まさにというのだ。
「それこそな」
「だからでごわすか」
「そや、九州も軍門に降してや」
そのうえでというのだ。
「仲間にしたるわ」
「そう言うでごわすな」
「そして自分もやな」
「同じ考えでごわす、必ず勝ってでごわす」
「綾乃ちゃんも僕等もやな」
「仲間にするでごわす」
自分が棟梁になる形でというのだ。
「そう言っておくでごわすよ」
「お互い今はぶつかり合うな」
「そしてぶつかり合って」
「決めるで」
どちらが日本の棟梁の座により近付くか、それをというのだ。まだ日本は統一されていないのでこうなる。
北原は一気に突進し金棒を強力で思い切り振った、その一撃を。
芥川は上に跳んでかわした、そしてだった。
左手にある大通連を横薙ぎに出した、だが。
その一撃をだ、北原は後ろに跳んでかわす。巨体からは思いもよらない軽快な身のこなしであった。
芥川はその彼に右手の三光手裏剣を放った、それも一発や二発ではない。十二十と続けて放つ。それはまるで機関銃の様だった。
北原はその手裏剣達を今度は左右に跳んでかわす。芥川はその彼に着地してからにやりと笑って言った。
「見事やないか」
「おまんさあも」
「僕の今の攻めそうかわせん筈や」
「戦う軍師の通り名は伊達でないでごわすな」
「こっちの世界の忍者は前線でも戦うしな」
彼にしても佐藤兄妹にしてもだ、このことは同じだ。
「それに僕の神具は戦闘メインばっかりやしな」
「だからでごわすな」
「策にも自信があってや」
「一騎打ちにもでごわすな」
「そや」
その通りだというのだ。
「そして術もあるで」
「そちらもでごわすな」
「こうしてな」
右手を顔の前にやって印を結んだ、するとだった。
周りに霧が出た、己の身体をその霧の中に隠し声だけで北原に言った。
「霧の術、そしてや」
「隠形の術でごわすか」
「この二つの術を合わせて使うことも出来る」
「陰陽術も備えているでごわすな」
「今はな」
忍者は本来は錬金術を使う、しかし今の彼は魔術日本では陰陽術と呼ばれているそれを使うことも出来るのだ。
「こうしてな」
「見事と言っておくでごわす」
「そしてその見事な術を使ってや」
「そうしてでごわすな」
「自分にも勝つ」
そうするというのだ。
「今からな」
「ではおいもでごわす」
「術を使うか」
「術には術でごわす」
こう言ってだ、何と。
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