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夢幻水滸伝

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第三十三話 強行上陸その十

「本当に」
「そう言って頂き光栄です、ですが」
「ええ、中里氏はね」
「やはり手強いです」
「本当にね」
「伊達に六将星ではないです」
「その通りね、私の武器は貴方と」
 再び式神の紙を出しつつ述べた、右手の人差し指と中指の間に数枚トランプのカードの様に持っている。
「この式神よ」
「暦林問答集と小烏で霊力を増した」
「接近戦用の武器はないわ」
「中里さんと違い」
「そう、正直劣勢よ」
 中里と比べてというのだ、今の自分の相手である。
「どうしてもね」
「そのことは否めないですね」
「とてもね、しかも中里氏は頭もいいわ」
 美鈴は彼のこのことも話した。
「頭がいいとね」
「即座に対応されるので」
「今みたいにね」
「余計に辛いですね」
「ええ、相手にするには」
「しかしです」 
 その武勇と知力を併せ持つ強敵を前にしていてもとだ、八房は主に対してさらに話した。
「ここで敗れますと」
「六将星の一つが自由になる」
「その分だけ辛くなるわ」
 九州の軍勢がというのだ。
「そうなるわ」
「そうです、ですから」
「劣勢は劣勢なりにやるしかないわ」
「そういうことですね」
「では次は」 
 出している青い紙達を一瞥してまた言った。
「これを使ってそして」
「そのうえで、ですね」
「もう一つ術を使うわ」
「では合わせます」
「お願いするわ」
 こう八房に言ってだった、そのうえで。
 美鈴は式神を飛ばした、今度は青い鮫達を空中に出す。そうしてそこからさらに印を結んでだった。
 己の身体の前に障壁を出してそれで中里が放った気をあえて受け止めてその隙に八房に攻めさせた、障壁は気の刃で相殺されたが中里の一撃は確かに防いだ。そうして鮫達と八房に攻めさせて言った。
「さて、これではどうですか」
「僕の攻撃をか」
「あえて防ぎました、そして」
「攻撃をさせて隙を作らせた」
「そこを攻めましたがどうですか」
「こうするだけや」
 両手に持つその二刀をだった。
 中里は突きを繰り出した、それで先に来た鮫達を倒してだった。
 後ろに回り込んできた八房にはだ、何と。
「今や!」
「わかった!」
 鵺が出て来た、鵺は即座に八房に向かい彼と闘いに入った、そうして霊犬も封じそのうえで言った。
「隠し腕ならぬ隠し鵺や」
「道理で今まで出していない筈ですね」
「神具はあるだけ使う」
 笑って美鈴に返した。
「それが戦やろ」
「その通りですね」
「そやな、数も装備もでな」
「神具もですね」
「自分等の星のモンは全員闘ってる」
 関西の星の者達をそれぞれぶつけてだ。
「そうしてや」
「後は兵同士の戦ですが」
「勝てるか、それで」
「我が軍の兵を甘く見ないことです」
 これが美鈴の返事だった。
「九州の兵は修羅です」
「それだけ強いっていうんやな」
「元々尚武の気風ですから」
 そのせいでというのだ。 
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