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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百三十四話 件その十一

「さっと隠れます、ただごく稀にです」
「隠れるのが遅くて」
「見付かってしまいます」
 そうなるというのだ。
「牛女の様に」
「偶然ですね」
「はい、本当にです」
「妖怪を見ることは」
「偶然です」
 それで出来るものだというのだ。
「狙っては出来ません」
「そう思うと妖怪を見ることは」
 僕は早百合さんのその偶然という言葉を聞いて言った。偶然というものがどれだけ気まぐれなものか知っているからこそ。
「運がいいんですね」
「そうですね、妖怪を見られると」
「そうですよね」
「私も見たことはありません」
「グレムリン達も」
「そして外の妖怪さん達もです」
 彼等についてもというのだ。
「その目で見たことはありません」
「けれどそれでもですね」
「急にピアノの調子が悪くなることがありますので」
 それでチェックすると何もないことがだ、そしてすぐにその調子が元に戻ってしまうからだ。
「ですから」
「信じられますか、あと」
「あと?」
「早百合さんピアノの調律も出来るんですか」
「出来ます」
「それは凄いですね」
「ピアノのことは全て知っておく」
 調律までもというのだ。
「それもです」
「ピアノで大事なことですか」
「私はそう考えています」
 そうだというのだ。
「全て知ってそのうえで」
「ピアノの演奏をして」
「調整もします」
 それもというのだ。
「そのうえでいい音も立てます」
「そうした方はです」
 裕子さんも言ってきた。
「滅多におられないです」
「ピアノの調律が出来るとなると」
 それこそとだ、僕は内心早百合さんのそのことに驚きながら裕子さんに答えた。
「それだけで仕事になりますよね」
「はい、そこまでピアノの調律は大変です」
「特殊な職業ですよね」
「ある意味演奏が出来る以上に」
 さらにというのだ。
「凄いことです」
「よくそこまで出来ますね」
「はい、好きなので」
「ピアノがですか」
「それで出来ています」
 そうだというのだ。
「私も」
「好きだからこそですか」
「自分でピアノのことを全てしたいと思いまして」
 その結果というのだ。
「どのピアノもです」
「調整されていますか」
「このピアノもそうで」
 八条荘の今ご自身がかけているピアノを見ての言葉だ。
「そして学園のピアノも」
「そちらもですか」
「しています」
 調律、それをというのだ。 
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