夢幻水滸伝
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第三十二話 九州上陸その十一
「あそこもな」
「天守閣があるか」
「見事なもんがな」
「どの城も天守閣あるねんな」
「こっちの世界ではな、ほなな」
「ああ、今からやな」
「あの連中を破ってや」
九州の軍勢も見てそのうえで中里に話す。
「そしてな」
「博多、大宰府を奪い取って」
「そうして福岡城も攻め取ってな」
そのうえでというのだ。
「九州攻めの一大拠点とするで」
「肝心なのは大宰府やな」
「あそこやな、ここでは」
「そうなるか」
「ほな行くで」
芥川は中里に明るく笑って先に向かう様に言った。
「そうするで」
「わかった、ほな先陣動くんや」
玲子と彼女が率いる軍勢に指示を出した。
「一気に海岸まで上がるんや」
「わかったよ」
玲子が貝殻から応えた。
「今から行くよ」
「いつも通り一気に行くか」
「ああ、そうさせてもらうよ」
玲子は貝殻の向こうで中里に笑って返した。
「朱槍と一緒にね」
「ほんまにいつも通りやな」
「そうだね、楽しませてもらうよ」
不敵な笑みでの声だった。
「大不便者としてね」
「そこでほんまに武辺者って言わんな」
「実際にそうだからね」
武辺ではなく不便、戦で切り込む以外は何の役にも立たないからだというのだ。
「それでだよ」
「そうか、ほなな」
「不便者としてだね」
「やってもらうわ」
玲子の言葉を受けてこう言った。
「そうな」
「それじゃあね」
「大宰府まで手に入れる為にも」
九州攻めの橋頭保としてだ、芥川も言う。
「この戦も勝つで」
「それが戦の目的やな」
「敵を倒して終わりの戦やない」
この度の戦はとだ、芥川は中里に応えた。
「ほなな」
「ああ、上陸してな」
「連中退けて博多も大宰府も手に入れて」
「福岡城もな」
「手に入れるんや」
そしてそこから九州攻めに本格的にかかるというのだ、芥川のその言葉に従い関西の軍勢は今上陸にかかった。
第三十二話 完
2017・9・1
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