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夢幻水滸伝

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第三十三話 強行上陸その一

               第三十三話  強行上陸
 玲子は上陸する関西の将兵達が乗っている船団の先頭の船のさらに艦首にいた、そこに朱槍を手に立ってだった。
 自身が率いる軍勢にだ、大音声で告げた。
「いいね。これからね」
「はい、祭りです」
「それですね」
「そうだよ」
 それがはじまるというのだ。
「その最初をやるのがあたし達なんだよ」
「それは楽しみですね」
「祭りの中に真っ先に飛び込んで」
「そして歌い踊る」
「まさに晴れ舞台ですね」
「死んだ奴は後で蘇らせてやるよ」
 玲子はその場合のことも話した。
「だからいいね」
「首が飛ばない限りは歌って踊って」
「そして敵を薙ぎ倒していきますか」
「矢でも鉄砲でも持って来い」
「その意気ですね」
「そうさ、傾きな」 
 今度は玲子自身が傾奇者であることからの言葉だった。
「いいね」
「はい、わかってます」
「そうします」
「こんな時逃げたら武士の名折れやさかい」
「わし等もやってやりますよ」
「褒美は取り次第、望み次第だよ」
 敵を好きなだけ倒してというのだ。
「じゃあいいね、上司くだよ」
「わかりました!」
 玲子が率いる先陣の将兵達は実に威勢のいい声で応えた、そしてだった。
 彼等は船達を海岸に突き進まさせる、砂浜のそこに。
 砂浜の海岸には既に九州の軍勢が布陣して待ち構えている、その中にいる雪路は玲子の姿をその目に認めて彼女もにやりと笑ってそのうえで言った。
「やっぱり野上先輩が先陣だね」
「そうたい」
 純奈もその笑みで言う。
「あの娘らしいたい」
「あの威勢のよさ好きだよ」
「うちもたい、あれで気風と面倒見がよくていい娘たい」
「先輩はあっちの世界で野上先輩と仲いいんだよね」
「結構一緒にいたりするたい」
 交流があるというのだ。
「いい友達たいよ」
「そうなんだね」
「あっちの世界でもああだよ」
「そこは先輩と同じだね」
「そうたいな、それじゃあ」
「今度は先輩が野上先輩¥と戦うかい?」
「いや、うちはまずこれたい」
 こう言ってここでも神具である鎮西八郎の弓を出した。
「これで敵の軍勢を攻めるたい」
「そうするんだね」
「だからたい」
 それでというのだ。
「玲子ちゃんはおはんに任せるたい」
「わかったよ、じゃあね」
 長崎訛りの言葉で応えてだ、雪路はその両手にカイザーナックルを嵌めた。そうして軽く準備体操をしてだった。
 そのうえで身構える、純奈は矢を放ちはじめた。美鈴も式神を次から次と出していく。
 そして又吉もだ、北原に言った。
「棟梁、では」
「おまんさあもでごわすな」
「攻めます」
 こう言うのだった。
「そうさせてもらいます」
「わかったでごわす」
 これが北原の返事だった。
「じゃあ頼むでごわす」
「それでは」
「おまんさあが神具を使うのは久し振りでごわすな」
「そうですね」
 言われてみればとだ、又吉も応える。 
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