八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十四話 件その四
「まさに」
「そうですか」
「はい、そこはよく覚えておいて下さい」
「わかりました」
僕は畑中さんの言葉もっと言えば気遣いに頷いた。
「そうさせてもらいます」
「その様に」
「はい」
こう答えた。
「そうさせてもらいます」
「それは何よりです」
「しかし。件は本当にいるんですね」
「妖怪は実在しますね」
「はい、それはわかります」
僕にしてもだ。
「うちの学園そうした話が多いですから」
「妖怪だけでなく幽霊も」
「うちの学園世界屈指の妖怪スポットですから」
そして幽霊のだ、とにかく東西の妖怪がこれでもかというだけ集まっているのだ。学園の至るところに。
「ですから」
「義和様は御覧になられたことは」
「ないですが」
それでもだった。
「ですがらそれでもです」
「信じられますか」
「ガジュマルの木見てたんですよ」
学園の中にあるそれをだ。
「この前」
「あの木ですか」
「あれ沖縄から取り寄せてますよね」
「はい、そうです」
「ガジュマルの木にキジムナーが住むんですよね」
沖縄の妖怪だ、何でも魚の目玉が好きで海や丘を跳ね回る様に動いている子供の様な外見の妖怪らしい。
「そうですよね」
「そう言われていますね」
「その木が動いたんです」
「風もないのに」
「そうなったんです」
見ていてだ、さながら志賀直哉の木の崎にての一場面みたいに。あの場面では実は微かに風が吹いていたそうだが。
「それもやたらざわざわと」
「そうですか、それはです」
「姿は見えなくても」
「はい、キジムナーがいましたね」
畑中さんもこの妖怪の名前を出してきた。
「間違いなく」
「そうですよね」
「妖怪は姿を隠す時はです」
「本当に見事に隠れるらしいですね」
「ですから」
それでというのだ。
「キジムナーもその時はです」
「上手に隠れていて」
「義和様に姿を見せませんでした」
「ですがそれでもですね」
「キジムナーはいました」
あの時ガジュマルの木の中にというのだ。
「間違いなく」
「そうでしたね」
「はい、あの学園は他にもですね」
「そうした話多いですね」
その妖怪の話がだ。
「何かと」
「本当にあちこちにありますから」
七不思議どころじゃ効かない、百はあるかも知れない。
「ですから」
「実際に見たって人多いですし」
「学生さんだけでなく先生や職員さんも」
「僕の友達でもいます」
勿論担任だったり教科を受けた先生でもだ。
「フランケンを見たとか鬼とか幽霊とか」
「河童もですね」
「はい、その妖怪も」
あと夜行さんという首なし馬に乗る一つ目の鬼を見た人もいる、夜勤の巡回中に学園の中を走っていたという。あと幽霊列車の話もあるし口裂け女もトイレの花子さんもテケテケも見た人がいる。
「何かと」
「そうですね」
「はい、とにかくです」
「そうした妖怪の話多いですね」
僕は畑中さんに話した。
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