八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百三十四話 件その三
「予言をしてすぐに死にました」
「あっ、件はそうらしいですね」
「生まれてすぐに予言をしますが」
「その予言をしてですね」
「すぐに死にます」
「そうらしいですね」
「はい、そしてその件もでした」
台風が来ると予言をして死んだというのだ。
「ですがその予言が伝わり」
「そしてですか」
「その牧場も周囲の方々もです」
「台風への備えが出来たんですね」
「それが出来ました」
そうだったというのだ。
「これが正しい予言だと思います」
「事前に何が起こるのかはっきり言う」
「何とでも取れたり後で言う様な予言はです」
「予言ではないですか」
「そう思います、件の予言が本物です」
こう畑中さんに話してくれた。
「私はそう考えます」
「そうした予言でないとですね」
「信じるべきでないかと」
「わかりました」
僕は畑中さんのそのアドバイスに頷いた。
「そういうことですね」
「そうかと、とかく予言とはそうしたものでしょう」
「事前に何が起こるのかを言うのですね」
「それもわかりやすく」
「そういえば」
ここで僕は思い出した、その思い出したことはというと。
「天理教の教祖もそうですね」
「はい、必ず事前にですね」
「言われたり書かれたりしてますね」
「それもわかりやすいですね」
「何のことかと」
「そうしたものです」
「ノストラダムスと違って」
天理教で書かれていることで後で言っていることはない、そうした予言を扱った本とは違って。
「それが違いますね」
「そうですね」
「間違っても後で人類が滅亡するとはです」
そうした何処ぞの漫画の様なことはというのだ。
「書いていません」
「破滅だの滅亡だのはですね」
「天理教ではない考えです」
「あれはキリスト教の考えでしょうか」
「仏教の末世思想もある様ですが」
「それでもですね」
「はい、ああした本で言っていることはです」
そうしたものはというと。
「多分に煽っています」
「やっぱりそうですか」
「様々な思惑で」
「それが本を売りたい為なら」
「まだいいですが」
「しかしですね」
「カルト教団の様な目的ですね」
オウム等であることは言うまでもない。
「そっちの方は余計に悪質ですね」
「はい、集金目的や権勢拡大の為であっても」
「オウムはクーデター狙ってましたしね」
だからテロを行ったのだ。
「それに利用するのなら」
「許されないことです」
「そう思うと予言は危険ですね」
「はい、迂闊に信じますと」
それこそというのだ。
「非常に危険です」
「やっぱりそうですね」
「ですから義和様にもです」
僕をじっと見て話してくれた。
「気をつけて頂きたいです」
「予言にはですね」
「くれぐれも」
心から気遣ってくれているのがわかる言葉だった。
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