夢幻水滸伝
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第三十二話 九州上陸その二
「連中はな」
「あくまでか」
「天下統一を考えてるからな」
「九州全土を攻め取るまではか」
「戦が続くかもな」
「ほな薩摩、ひいては琉球までか」
「攻めて行くかもな」
そうした戦いになるかも知れないというのだ。
「そこも覚悟するんや」
「ほなこれまでの戦とちゃうか」
「相当な消耗戦になる可能性もある」
激しい戦が続いてというのだ。
「そのこともな」
「頭に入れてか」
「戦っていくで」
「ほな余計に博多、大宰府は大事か」
彼等の九州攻めの拠点となるこの二つの場所はというのだ。
「そうなるな」
「そや、制海権は握ったしな」
「本州からものをどんどん入れるか」
「特に瀬戸内を使う」
この海をというのだ。
「関西、中国、四国のものをな」
「どんどん入れてか」
「物量作戦を仕掛ける、十万の兵でな」
「五万の九州を攻めるか」
「兵は倍、しかしな」
「物資はか」
「三倍、いやそれ以上ある」
芥川は強い声で言った。
「それ位はな」
「その物資を使ってか」
「どんどん攻める、そしてな」
「そして?」
「調略も仕掛ける」
そちらもというのだ。
「出来たらな」
「星の奴を買収か?」
「いや、それは無理や」
「裏切る奴はおらんな」
「そんなしょうもない奴はおらん」
九州の星の者にはというのだ。
「一人もな」
「ほな国人連中か」
「そういう連中に仕掛けられたらな」
「仕掛けてくか」
「銭とかお宝とか使ってな」
そうしてというのだ。
「やってく、ただな」
「それもやな」
「まあ無理やろ」
調略、九州の国人達へのそれはというのだ。
「北原は九州の国人達の心も掴んでる」
「器の大きい奴やしな」
「それはわかるやろ」
「ああ」
中里ははっきりした声で答えた。
「一騎打ちからわかったわ」
「戦も強いけどむしろな」
「あいつは政の人間やな」
「その器の大きさで人を惹き付ける男や」
「そういう奴からか」
「国人もや」
その調略を仕掛けるべき彼等もというのだ。
「ちょっとな」
「調略仕掛けて寝返る様にさせようとしてもか」
「無理やろな」
これが芥川の見立てだった。
「やっぱりな」
「北原はそこまで国人の心も掴んでるか」
「ああ、関西と一緒や」
そうした土着勢力を掴んでいる状況はというのだ。
「そやからな」
「仕掛けてもか」
「無駄やろな」
「それやったらな」
そう聞いてだ、中里は芥川に話した。
「戦で勝つしかないな」
「そや、結局はな」
「ほなほんまに九州全土を手中に収めるまでか」
「戦になるかも知れん」
芥川はこう中里に話した。
「長期戦も覚悟や」
「そうなるか」
「とにかくまずは博多と大宰府や」
この二つの地域をというのだ。
「上陸してな」
「その二つの場所を占拠してか」
「そこを足掛かりにして攻めてくで」
「海の守りは任せろ」
そちらはとだ、吉川が二人に強い声で言ってきた。
「壇ノ浦で制海権を握った」
「そやからやな」
「敵の船がこちらの物資を積んだ船を狙ってきてもだ」
所謂通商路の破壊をしてきようとしてもというのだ。
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