夢幻水滸伝
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第三十二話 九州上陸その一
第三十二話 九州上陸
壇ノ浦で九州の軍勢を破った関西の軍勢は艦隊を萩に向けた。彼等が萩の沖に姿を表すとその萩の港からだった。
船達が出て来た、中里はそれを見て言った。
「向こうもわかってるんやな」
「連絡してたしな」
芥川が中里に言ってきた。
「既にな」
「それでも僕等が来てすぐに来るとかな」
「動きがええな」
「わかってるわ、ほなな」
「ああ、合流したらすぐにな」
即座にとだ、芥川はさらに言った。
「九州の方に向かうで」
「わかったわ」
「それでや」
「上陸か」
「そや」
芥川は一言で答えた。
「わかるな」
「ああ、予定通りやしな」
「勝てた、ほなな」
それならというのだ。
「次に移る」
「それが上陸やしな」
「それでや、井伏達と合流してや」
「すぐにやな」
「上陸や、そしてな」
芥川はさらに言った。
「次はな」
「大宰府か博多か」
「博多を占拠してな」
そしてというのだ。
「そこから大宰府も攻め取ってな」
そうしてというのだ。
「その二つを拠点としてな」
「そこから先にやな」
「攻めていく」
そうするというのだ。
「九州をな」
「博多、大宰府に物資をどんどん入れてか」
「攻めていく、しかしな」
「しかし?」
「九州全土を攻め取るまで戦をすることもな」
それもというのだ。
「考えなかんかもな」
「これまでの戦とちゃうか」
「中国、四国はな」
「勝敗が決したと判断したぜよ」
三笠に来ていた正岡、かつて四国の棟梁だった彼が答えてきた。
「だからぜよ」
「それ以上の戦は止めてか」
「降伏したぜよ」
そうだったというのだ。
「戦をしてもぜよ」
「民や国が傷つくだけか」
「それに綾乃さん達なら悪い様にはせん」
四国の民達をというのだ。
「それがわかっていたからぜよ」
「我々は降りました」
織田も言ってきた。
「そもそも我々に強い野心はありませんでしたし」
「それでか」
「はい」
そうだとだ、織田も話した。
「だからです」
「二戦してそれでか」
「降りました」
四国による天下統一を諦めてというのだ。
「それならと思いまして」
「そういうことか」
「中国もそうや」
井伏、山本もとだ。芥川が話した。
「連中もな」
「戦をしてもか」
「仕方ないと判断したしな」
「野心もなくてか」
「僕等、特に綾乃ちゃんが民や国を大事にする」
「それがわかってたからやな」
「降った、ただ九州はちゃう」
彼等はというのだ。
「野心が強い」
「僕等のことはわかっててもやな」
「自分達の天下統一を強く願ってる」
「特に棟梁の北原がやな」
「そやからや」
それ故にというのだ。
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