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夢幻水滸伝

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第三十一話 神具同士の攻防その十三

「これでは」
「例え星同士の戦いに勝ちましても」
「まだ相手には星がいるでごわす」
「しかも神星がもう一人控えています」
 それが芥川であることは明らかだ。
「そう考えますと」
「ダメージを受けた船団に」
「そしてこの激しい一騎打ちからです」
 つまりそこでダメージを受けるのは明らかだというのだ。
「そのうえで」
「また星の者と闘うとなるとでごわす」
「例え勝てたとしても」
 それが出来てもというのだ。
「かろうじて、で」
「次の戦は出来ないでごわす」
「今はまだです」
 何とかというのだ。
「退いてです」
「九州で態勢を立て直して」
「また力がある状態で戦えますが」
「このままここで戦えば」
「この状況を脱してです」
「勝ってもでごわすな」
「辛うじてであり」
 辛勝、それもかなりのものになるというのだ。
「ですから」
「次は戦えないでごわすな」
「そうなるかと」
 船団を指揮する者としてだ、又吉は今は戦闘中である美鈴に代わって北原に対して話した。
 その話を聞いた北原は即断した、中里との死闘は今も続き二刀と金棒の激突は続いている。
「わかったでござる」
「では」
「すぐに艦隊をまとめ助けられる兵は助けだして」
 海に放り出されている彼等をというのだ。
「そしてでごわす」
「撤退ですね」
「囲まれているでごわすが逃げさせられるでごわすな」
「任せて下さい」
 又吉は沖縄訛りの言葉で答えた。
「そこは」
「ではでごわす」
「撤退に移ります」
「全軍大宰府まで退くでごわす」
 北原はここで舩にいる全ての者に告げた。
「そしてでごわす」
「そこで、ですね」
「戦力を立て直すでごわす」
 美鈴にも答えた。
「いいでごわすな」
「はい」
 美鈴も答えた。
「それでは私も」
「頼むでごわすよ」
「戦いを終える為に」
「おまんさあもやってくれるでごわすか」
「お任せ下さい」
 これが美鈴の返事だった。
「ここは」
「では、でごわすな」
「陰陽師達は海に出されている兵を術で戻すのです」
 美鈴はすぐに彼等への指示を出した、例の四人組と闘いつつもそうしたのだ。
「誰も見捨てない様に」
「了解」
「わかりました」
 その九州の軍勢の陰陽師達から返事が来た。
「それではすぐに」
「術を使います」
「お願します、では棟梁」
 美鈴も北原に言ってきた。
「すぐに一騎打ちを中断して」
「退くでごわす、中里どん」
 その死闘を繰り広げる彼にも言った。
「ここはおまんさあの勝ちでごわす」
「戦は関西のか」
「そしてこの一騎打ちもでごわす」
「僕の勝ちか」
「おいが退くからでごわす」
「それでか」
「この一騎打ちもおまんさあの勝ちでごわす」
 そうだというのだ。 
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