| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵を表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

夢幻水滸伝

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第三十一話 神具同士の攻防その二

「同じものをぶつけるしかない」
「そしてその優劣がだ」
「戦も決める」
「そういうことだな」
「中里の神具は強いで」
 芥川はにやりと笑ってこうも言った。
「あの童子切も千鳥もな」
「神具の中でもな」
「相当に強い、しかも夏目もおる」
「幾ら相手が矢を縦横に放ってもだな」
「限度がある」
 あちらが対するにはというのだ。
「しかもあいつもわかってる筈や」
「もう一つ神具がある」
「鵺や」
 中里の乗りものであるこの獣の神具だというのだ。
「それもある」
「鵺の声は武器にもなるがな」
「盾にもなる、それを使うかや」
「そういうことだな」
「しかも僕も出せる」
 他ならぬ芥川自身もというのだ。
「狐をな」
「そして狐の妖力で結界を出してか」
「艦隊を守れる」
 それも可能だというのだ。
「旧美の狐の妖力は凄いで」
「今は出ていないな」
「出そうと思ったら何時でも出られるし」
 芥川は吉川に笑って話した。
「あいつが出たかったらな」
「自分からか」
「出て来る奴や」
「しかし今はか」
「あいつも出て来る時やないって思ってるんや」
 そう考えているからだというのだ。
「そやからや」
「出て来ないのだな」
「そういうこっちゃ」
「では今は精霊界で休んでいるか」
「そやろな、神具っていっても霊獣でな」
 それでというのだ。
「霊獣は妖精や精霊、こっちの世界の種族やないそうした連中と普段はあっちの世界におるからな」
「今はそちらにいてか」
「揚げでも食うてるわ」
「揚げか」
「あいつも狐やから揚げが大好きやねん」
 狐といえば揚げというのはこの世界でも変わらないことだ、ただしこれは日本の狐限定である。何故なら油揚げは日本にしかないからだ。
「あときつねうどんもな」
「好きか」
「大好物や」
「ではそちらを食べている可能性もか」
「あるわ」
「そうか、私も揚げやきつねうどんは好きだが」
 こちらの世界ではマーマンだがあちらの世界の好みも反映されていてだ。
「狐は余計にだな」
「夏目かて好きやろ」
 狐人の彼もというのだ。
「そやろ」
「そうだな、狐は本当に揚げだな」
「日本やったらな、まあとにかくな」
「今はか」
「あいつが出る程やないってことや」
 芥川も狐もこう認識しているというのだ。
「そういうことや」
「そうか、では自分もか」
「ここにおるで」
 軍師として艦橋において策を出すことで艦隊の指揮を執っている吉川の助けをするというのだ。
「そうしてええな」
「頼む」
 これが吉川の返事だった。
「自分の頭は本当に助かる」
「ではな」
 こうしたことを話してそしてだった、芥川は今は三笠の艦橋で軍師に徹していた、戦場に出るのではなく。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧