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夢幻水滸伝

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第三十一話 神具同士の攻防その一

               第三十一話  神具同士の攻防
 純奈は矢をつがえてそれを渾身の力で引いた、弓の弦からきりきりという音が聞こえてくる。
 その音を楽しみつつだ、矢をひょうと放つ。それも一撃だけでなく。
 二撃三撃と次々に放つ、北原はその攻撃を見て言った。
「いつも通り見事でごわすな」
「弓の放ち方がだね」
「ただ狙いが正確なだけでないでごわすな」
「連射が出来るのもね」
 それもとだ、笑って言う純奈だった。
「うちの弓なんだよ」
「そうでごわすな」
「何処でもね」
 例え船の上でも空にいてもだ、丘の上で立っている様にというのだ。純奈の弓の腕は場所に影響される程度のものではないのだ。
「こうしてね」
「放てるでごわすな」
「幾らでもね」
「そしてでごわすな」
「攻められるよ」
「ではここはでごわす」
「任せてくれるね」
「そしておい達も攻撃出来る範囲になれば」
 それぞれの神具のだ。
「攻めるでごわすよ」
「はい、お願いします」
 美鈴はその北原に確かな顔で応えた。
「ここは」
「そしておまんさあは」
「守りに徹させてもらいます」
 そうするというのだ。
「軍勢を守ります」
「頼むでごわすよ」
「はい」
 美鈴は北原に確かな声で応えた、又吉は艦隊の動きに専念している。そうしつつ彼等も反撃に出た。
 純奈の放った矢はどれも光線の様に関西の船達に向かっていた、その速さは相当なものでだ。
 見た中里もだ、共に三笠の艦首にいる夏目に唸って言った。
「あんな矢ははじめて見たわ」
「中里氏もでおじゃるな」
「弓矢を使った戦は多い」
 こちらの世界ではだ。
「かなりな、けどな」
「あれだけの速さとなると」
「はじめてや」
 感嘆さえしていた、言葉にそれが出ている。
「威力も相当やな」
「まさに一撃で、おじゃる」
「鉄の装甲も貫くか」
「船のそれも」
「そうして沈めてしまうか」
「そうでおじゃる」
「船を沈めるとかな」
 まさにという口調での言葉だった。
「神具ならでは、そして」
「星の者でおじゃるな」
「全くや、けど僕もその星のモンや」
 それ故にとだ、中里は両手にそれぞれ一本ずつ持っている刀を構えた。夏目も自身のそれを構え。
 一振りまた一振りと激しく振ってだ、そのうえで。
 衝撃波や雷の矢を放つ、それでだった。
 純奈の矢を迎え撃った、そうして双方が激突し。
 凄まじい衝撃が起こり相殺される、その状況を見てだった。吉川は三笠の艦橋で強い声で言った。
「神具にはやはりな」
「神具やな」
「そうだな」
 こう己のすぐ後ろにいる芥川に答えた。
「まさに」
「というか神具に対抗しようって思ったらや」
「神具しかない」
「そういうことや」
 こう吉川に話した。
「結局のとこはな」
「戦う為の神具ならばな」
「戦う為の神具や」
 それをぶつけるしかないというのだ。 
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