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夢幻水滸伝

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第三十話 壇ノ浦の戦いその十四

「思わぬダメージを受けるでおじゃる」
「それならな」
「守るでおじゃる」
 こう話してだ、そしてだった。
 中里は三笠の艦首で敵の攻撃が来るのを待っていた、それは純奈も見ていたが彼女はというと。
 その中里を見てだ、こんなことを言った。
「相手にとって不足なしたい」
「中里やな」
「やってやるばい」
 こう北原に答えた。
「一撃をね」
「くれぐれもね」
 美鈴がこうその純奈に話した。
「中里君を狙うんじゃなくて」
「船たいね」
「相手は六武星、下手に狙っても」
 そうしたことをしてもというのだ、射倒せば総大将でもあることから大金星にしてもである。
「当たるものではありません」
「うちの弓は百発百中でも」
「そうよ」
 とてもというのだ。
「狙いは正確であろうとも」
「防がれるんだね」
「そうなるわ、それも確実に」
「だから先輩としてはここは」
「船よ」
 狙うのはというのだ。
「そうなるわ」
「それじゃあ」
「お願いするわね」
「わかったよ、そっちも防がれるだろうけれど」
「間違いなくそうなるわ」 
 美鈴もそこは読んでいた。
「相手も馬鹿ではない、いえ軍師もいるから」
「芥川さんだね」
「ええ、彼は私以上の知恵者よ」
 美鈴はこのこともわかっていた、自分と相手の資質を的確に見て把握するだけの知力も備えているのだ。
「四智星だけあってね」
「だからだね」
「それ位のことは普通にしてくるわ」
「うちの弓矢を防ぐんだね」
「そうしてくるわ、けれど」
「それでもだね」
「お願いするわ」
 神具である為朝の弓を使ってのそれをというのだ。
「強い相手だけれど弾き返して」
「弓は刀よりも強いってね」
 純奈は美鈴に不敵な笑みを浮かべてこう返した。
「そう言うからね」
「なら」
「勝ってみせるよ、六武星にね」
 純奈は矢をつがえた、そうして敵の船に狙いを定めてだ。そのうえで攻撃をはじめた。それが九州の反撃だった。


第三十話   完


                   2017・8・17 
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