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夢幻水滸伝

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第三十話 壇ノ浦の戦いその四

「あと艦隊は吉川と正岡、織田に任せてな」
「僕等もか」
「行けばええ」
 その時はというのだ。
「僕等もな」
「ほなな」
 中里は吉川の言葉に頷いた、そのうえでまずは夏目と玲子に声をかけた。
「自分達は僕等とや」
「斬り込みでおじゃるな」
「それだね」
「来てもらうで」
 こう二人に話した。
「九州の連中は強いらしいけどな」
「特に北原氏でおじゃる」
 夏目は彼の名をここで出した。
「あの御仁の強さは本物でおじゃる」
「武芸者か」
「剣に格闘、采配や政だけではないでおじゃる」
「かなりスペックは高いか」
「武芸も出来る西郷さんでおじゃる」
 西郷隆盛は子供の頃に腕を傷めそれで武芸は出来なかった、学問と生来の気質から来る器の大きさであれ程までの人物になったのだ。
「実際西郷さんを尊敬しているそうでおじゃる」
「その西郷さんみたいな奴か」
「しかも強いでおじゃる」
 個人としてもというのだ。
「だからあの御仁と戦うなら」
「相当強い奴がやな」
「向かわないとでおじゃる」
 それこそというのだ。
「駄目でおじゃる」
「ほな僕が北原に行く」
「では麿は林氏に向かうでおじゃる」
 夏目は彼女にと申し出た。
「弓使いであるがでおじゃる」
「接近戦も強いか」
「まさに鎮西八郎殿の様に」
「為朝さんやな」
 源為朝のことだ、九州をその武威で収め源氏の八男であったことからこう呼ばれる様になった。
「あの人みたいに弓が凄いか」
「そうでおじゃる、その武具もでおじゃる」
「為朝さんの弓か」
「神具でおじゃる」
 まさにそれで持っているというのだ。
「物凄い強さでおじゃるよ、そしてでおじゃる」
「刀もやな」
「こちらも神具でおじゃる」
「それでそいつはか」
「麿が向かうでおじゃる」
 そして戦うというのだ。
「そうさせてもらうでおじゃる」
「そっちはあたしが行くよ」
 だがここでだ、玲子がこう夏目に言った。
「腕自慢には腕自慢だろ」
「麿は別の御仁をでおじゃるか」
「カラーギャングの石川ちゃんのところに行ってくれるかい?」
「そちらこそではないでおじゃるか?」
「相性的にかい」
「左様、カラーギャングの石川氏も傾いているでおじゃる」
「傾奇者には傾奇者ってことでかい」
「そうすべきではないでおじゃるか」
 こう玲子に返した。
「麿はそう思ったでおじゃるが」
「そうかね」
 言われてみればという調子でだ、玲子は夏目に返した。
「じゃああたしはね」
「石川氏でおじゃるな」
「そっちに行くよ」
 玲子は納得した顔になって夏目に答えた。
「それじゃあね」
「そういうことで、おじゃる」
「それでや」
 芥川がここでまた言ってきた。
「僕はここで軍師としておるからな」
「今回はそうするんやな」
「ああ、向こうの水軍を操る又吉は人の星やけど船を動かさせると相当なもんや」
 だからだというのだ。 
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