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夢幻水滸伝

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第三十話 壇ノ浦の戦いその五

「油断出来ん相手や」
「それでか」
「しかも今回の戦こっちは人材も揃ってる」
 不意に笑みになってだ、芥川は中里にこうも言った。
「軍師自ら戦わんでもいける」
「そやからか」
「ここは任せるで、実質又吉の相手は吉川や」
「艦隊指揮同士でか」
「僕は軍師として全体を観る」
 戦のそれをというのだ。
「そうするからな」
「正岡と織田は左右の艦隊の指揮でやな」
「それで相手の星は残るは美鈴ちゃんやけど」
 陰陽師であり九州の軍師である彼女だというのだ。
「陰陽術を極めてる、尋常な相手やない、天の星やしな」
「相当な力を持ってるか」
「そやからこっちはな」
 芥川は瑠璃子達四人を見て中里に言った。
「こいつ等全員をや」
「ぶつけるか」
「物量作戦でいく」
「えっ、うち等数だけですか」
「それ侮り過ぎやないですか?」
「これでも星ですし」
「戦力にはなりますで」
 瑠璃子達四人は芥川に即座に抗議した。
「幾ら何でも四人全員で向かえって」
「ちょっとないですわ」
「相手が難波さんとか神星の人でもないと」
「四人で一度には行けませんで」
「自分等九州に行ったことないか」
 即座にだ、芥川は自分に抗議した四人に返した。
「それでそう言えるんやな」
「じゃあ山田先輩って」
「めっちゃ強いんですか」
「天の星ってのは知ってましたけど」
「そうでしたの」
「さっき陰陽道極めたって言ったやろ」
 芥川はこのことから四人に話した。
「しかもそこからさらにや」
「修行してですか」
「どんどん強くなってますか」
「極めてさにですか」
「そうなってる人ですか」
「極めるってことは一旦壁の前に来ることや」
 そうしたことだというのだ。
「何でも限界はない、上があってな」
「陰陽道も然りで」
「その壁を超えてですか」
「さらに凄くなってる」
「そうした人ですか」
「そやからな」
 こう言うのだった、四人に。
「物凄い強い、北原と同じ位か」
「そんなにですか」
「そやからですか」
「四人で向かえっていうんですか」
「うち等全員で」
「そや」
 まさにというのだ。
「ええな、美鈴ちゃんはめっちゃ強いで」
「そやからですか」
「ここはうち等全員で、ですか」
「そうしてですか」
「足止めですか」
「そや、まあ自分達は確かに強い」
 芥川もこのことは認める。
「星のモンでしかも神具も持ってるしな」
「それでもですか」
「美鈴さんはもっとですか」
「うち等より強い」
「そやからですか」
「四人全員で向かうんや」
 芥川の口調は強い、強制する感じのものだった。
「ええな」
「はい、わかりました」
「ほなそうします」
「芥川さんが言うには相当なもんですし」
「うち等も痛いの嫌いですから」
「臆病で慎重なのはええことや」
 芥川は四人にこうも話した。 
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