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夢幻水滸伝

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第三十話 壇ノ浦の戦いその三

「数も装備も向こうはかなり落ちる」
「それで勝つつもりならな」
「思いきったことをやるしかない」
 それこそというのだ。
「正面から脇目も振らず突っ込み」
「こっちの艦艇に乗り込んでな」
「切り込み艦艇内での白兵戦で勝つ」
「昔ながらのな」
「それか」
「そういうとこやな」
「ならばそれに対する」
 敵のその考え即ち戦術にというのだ。
「最初から海と空からだ」
「総攻撃か」
「それで敵艦隊の打撃を与えていく」
 その攻撃でというのだ。
「敵の舎弟の外からな」
「それでも突っ込んで来る」
 芥川はそのこともよくわかっていた、それで言うのだった。
「ほんまに艦に乗り込んで来る、しかもな」
「この三笠にだ」
「旗艦やからな」
「艦隊は旗艦から采配を執る」
 さながら総大将が本陣から采配を執る様にだ、旗艦は陸で言うとまさに本陣に等しい艦なのだ。
 吉川もそれがわかっている、それで言うのだ。
「ならばだ」
「乾坤一擲で勝つつもりなら」
 彼等から見て相当な劣勢を覆してだ。
「そうしてくるな」
「そうだろうな」
「ほなまずは徹底的にや」
「私の言う通りにだな」
「砲撃や」
 敵の攻撃射程外からというのだ。
「容赦なくな、そしてや」
「そうしてだな」
「そこで敵をとことんまで減らす」
「しかしそれでもやな」
 中里も言ってきた。
「敵は来るな」
「この三笠に乗り込みにな」
「そやな」
「それも九州の星の奴が総出でな」
「北原達がか」
「それこそ五人全員で来るで」
 その九州の者達がというのだ。
「殴り込みみたいにな」
「来るか」
「そやけどや」
「この三笠に乗り込まさせることはか」
「させん、ここに来るまでに徹底的に減らす」
 彼等の戦力、それをというのだ。
「そうしてくで」
「わかった、けどな」
「それでも三笠にまで来られたらか」
「どないするんや」
「そやな、そうなったらあかん」
 ここでだ、芥川は笑ってみせた。そのうえで中里に話した。
「三笠に乗り込まれたらな、けどな」
「それでもか」
「やられる前にやれっていうな」
「乗り込まれるならか」
「こっちからや」 
 まさにというのだ。
「敵の船に乗り込んでみせてや」
「やったるんか」
「逆にな」
「それで勝つんやな」
「そうする、ええな」
「こっちも思い切ったことやるか」
「その為の玲子ちゃんでな」
 彼女の名前を出してさらに続けた。
「あの四人もおるわ」
「あいつ等か」
「ほんまにこうした時こそや」
「役に立ってもらうか」
「そういうことや」
 まさにというのだ。 
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