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夢幻水滸伝

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第二十九話 九州の星達その十三

「ここは」
「それしかないでごわすな」
「そう思います、そして」
「おい達の術も神具も使って」
「余すところなく」
「そうしてでごわすな」
「攻めていきましょう、さもなければ」
 美鈴は北原だけでなく他の面々にも言った。
「我々は勝てないです」
「相手の方が強いからでごわすな」
「そうです」
 その通りだというのだ。
「ですから」
「強い相手に勝つにはばい」
 純奈も北原に言ってきた。
「やっぱりばい」
「それなり以上の工夫が必要でごわすな」
「そういうことばい」
 こう言うのだった。
「だからばい」
「わかっているでごわす、おまんさあにもでごわす」
「ああ、やってやるばい」
 純奈は自分の弓を見つつ笑って応えた。
「うちも」
「そうしてもらうでごわすよ」
「弓なら任せるばい、そして」
「刀でもごわすな」
「やってやるばい」
 まさにというのだ。
「うちも戦には自信があるばい」
「僕もです」
 又吉の口調は及ばずながらという調子だった。
「やらせて頂きます」
「頼むでごわすよ」
「はい、北原さんとはこの世界では長いですが」
「そうでごわすな」
「勝っていきましょう」
「おまんさあらしい言葉でごわすな」
 北原は犀のその顔をほころばせそのうえで又吉に言った。 
「それは」
「そうでしょうか」
「励ます様な言葉が」
 まさにというのだ。
「そう思ったでごわす」
「確かにね」
 雪路も北原に同意して頷いてきた。
「又吉はこうした時励ますね」
「そうなんだな」
「ああ、それがいいんだよ」
 又吉自身のというのだ。
「本当にね」
「そうなんだね」
「ああ、だから私も一緒にいるんだよ」
「学科も部活も違うのに」
「それでもだよ、ただね」
「ただ?」
「あたしが手芸部ってね」
 雪路は少し照れ臭そうに笑って又吉に返した。
「おかしいかね」
「おかしいって?」
「だからカラーギャングなのに手芸部ってね」
 そのギャップがというのだ。
「合わないかね」
「そこまでは」
「いかないんだね」
「うん、僕はそう思うよ」
「だといいけれどね」
「さて、では行くごわす」
 北原がまた仲間達に言った。
「大将倒して一気に勝つでごわすよ」
「そうしましょう、我等の総力を挙げて」
 その北原に美鈴が応えてそしてだった。
 九州の者達は関西の軍勢との海での戦に向かっていた、ここに両勢力の最初の戦がはじまろうとしていた。


第二十九話   完


                2017・8・9 
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