夢幻水滸伝
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第二十九話 九州の星達その十
「自分と一緒かな、あとな」
「あと?」
「佐藤兄妹おるやろ」
自分の弟子でもある双子の話もしてきた。
「あの二人天狗やって言うてたな」
「自分と一緒でな」
「それがや」
「それが?」
「実はちゃうかったんや」
こう中里に話すのだった。
「あの連中天狗やなくて翼人やった」
「そうやったんか」
「そや、また種族やったんや」
「何で天狗って間違えられてたんや」
「外見だけで判断されてたんや」
烏天狗にというのだ。
「僕とそっくりやからな」
「人間の身体に黒い羽根があってか」
「それでや、けれどな」
「それはちゃうかったんやな」
「翼人やってん」
「それ確かめてわかったんか」
「そや、医学的に調べたらな」
二人に身体検査をしたのだ、そしてその結果わかったというのだ。
「翼人やったんや」
「天狗と翼人ってどうちゃうねん」
「術の力がちゃうねん」
「そっちか」
「天狗は神通力があるやろ」
「ああ、そう言われてるな」
中里もこのことは知っていた、天狗と言えば神通力でありこれを以て様々なことが出来るのだ。
「童話とかで」
「それがあるかないかでな」
「天狗と翼人はちゃうか」
「あの二人は最初から忍術使えてたからな」
「それが勘違いされてたか」
「そうや」
そのせいでというのだ。
「間違えられてたんや」
「そうやってんな」
「ああ、こうしたこともあるねん」
その種族が間違えられることもというのだ。
「時たまな」
「成程な、そういえば鬼とオグルもちゃうか」
中里は自分の種族の話もした。
「僕や玲子ちゃんは鬼やけどな」
「オグルは鬼より身体が大きくてな」
「神通力がないか」
「そや」
そうだというのだ。
「そこに違いがある」
「外見は似ていてもか」
「そこはちゃうんや」
「成程な、間違えられる種族もあるか」
「あとゴブリンとホブゴブリンな」
この二つの種族もというのだ。
「またちゃうで」
「ああ、その二つの種族か」
「兄弟関係みたいな種族やけどな」
それでもというのだ。
「やっぱりちゃうねん」
「その二つの種族はどうちゃうねん」
「ホブゴブリンの方が大きい」
「そこがちゃうか」
「そや、ゴブリンの大型の種族がな」
「ホブゴブリンか」
「そうや、その違いも覚えておくとええわ」
芥川は中里に穏やかな顔で話した、その湯舟の中で。
「犬人と狼人、狐人と狸人もちゃうしな」
「同じイヌ科で似ているのは事実でおじゃるが」
その狐人である夏目も言ってきた。
「細かいところが違うでおじゃるな」
「自分と中原もな」
「そこは宜しくご存知願いたいでおじゃる」
「それやったらな」
「ほな酒を抜いて」
芥川は話が一段落したと見て微笑んで述べた。
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