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夢幻水滸伝

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第二十九話 九州の星達その八

 中里達は牡蠣も酒も楽しみその夜を過ごした、そうして。
 翌朝だ、吉川は六時に一同に言った。それぞれ旗艦の士官室で寝ている彼等に対して。
「起きるのだ」
「ああ、六時か」
「その時間やな」
「そうだ、風呂に入りたい者は入れ」
 如何にも酒が残っている感じで起き上がった仲間達に告げた。
「いいな、そしてだ」
「九時に出航やったな」
 中里は起き上がりながら吉川に問うた、見れば吉川はもう詰襟の軍服を端正に着こなしている。
「そうやったな」
「そうだ、九時になればだ」
「全艦出航やな」
「そうだ、行くぞ」
「わかった、ほな僕も酒残ってるからな」
「風呂に入るか」
「そうしてくるわ」
 実際にというのだ。
「ちょっとな」
「じゃあ今すぐ入って来い、他の奴もだ」
 吉川は中里以外の面々にも声をかけた。
「いいな」
「そうしてきますわ」
「今から」
「女風呂入ってきます」
「それですっきりしてきます」
 例の四人はすぐにだ、ゾンビの様に起き上がってだった。
 そのままゾンビの如きで風呂に向かった、そして中里達もだった。
 風呂に向かう、見れば吉川以外の全ての面々がそうしていた。中里はそれを見てこう言った。
「吉川以外全員か」
「私はもう入っているからな」
 吉川が応えてきた。
「先に入るといい」
「わかった、ほなな」
「そうしてだ」
「九時になったらやな」
「出港だ」
 予定通りというのだ。
「そうなる」
「そしてやな」
「出港の指揮は私に任せてもらう」
 吉川から言ってきた。
「それでいいか」
「大艦隊の出港やからか」
「私が一番だと思うが」
 そうした時の指揮はというのだ。
「どうだ」
「そやな、うちの戦力のかなりが海に出るしな」
「ここは任せてもらいたいが」
「わかったわ」
 中里はこの度の戦の総大将として答えた。
「ほなここはな」
「そういうことでな」
「やらせてもらう」
「じゃあ僕等は細かい指揮の為にやな」
「今のうちに酒を抜いておいてくれ」
「二日酔いやと指揮にも影響出るしな」
「だからだ」
 それが理由でというのだ。
「君達にはだ」
「酒を抜いてやな」
「手早く食事を済ませてだ」
 そうしてというのだ。
「細かい指揮を頼む」
「五万の兵が一人も勝手に船から出たりせんようにやな」
「そうしてもらいたい」
「わかった、ほなな」
「九時に出港だ」
「その前にな」
「酒を抜いておいてくれ」
「そうさせてもらうわ」
 こう言って実際にだった、中里は風呂に入った。彼が入るとすぐに芥川と夏目も来てだった。
 広い湯舟に入ってだ、汗をかきつつ言った。
「いや、酒がな」
「いい感じでやな」
「抜けてきてるわ」
 こう芥川に話した。
「すっきり出来るわ」
「まずそうして汗をかいてな」
「そしてやな」
「すぐに水風呂に入る」
 丁度湯舟の隣にある水風呂の浴槽を見て中里に話した。 
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