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夢幻水滸伝

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第二十九話 九州の星達その七

「そうするか」
「いや、僕はええわ」
「そうなんか」
「ああ、日本酒と白ワインでええわ」
「そうか」
「また今度な、しかしどんどん飲めて」
 それで、というのだ。
「どんどん食えてな」
「それでか」
「気分ええな、牡蠣も酒も最高や」
「これで英気を養ってな」
「出陣やな」
「正岡と織田は伊予から出る」
 この国の海からというのだ。
「それで呉から出港してすぐにな」
「合流する予定か」
「そや、お互いの居場所は吉川がわかってる」
 彼の持っている神具の力でというのだ。
「翼人や人魚、魚人の兵を出して確かめるしな」
「正岡達の居場所をか」
「そうして艦隊を動かすからな」
 それでというのだ。
「しっかりわかってるわ」
「それであの二人とその艦隊と合流してか」
「それからや」
「九州の連中と海での戦か」
「そうなるわ」
 芥川は先程中里に差し出したシャンパンを自分で飲みつつ言った、牡蠣と実によく合っていて美味かった。
「そしてや
「海での戦があってからな」
「それからか」
「そうや、九州上陸か」
「そうなるか」
「ああ、西日本を統一出来るかどうか」
 芥川は目を鋭くさせて述べた。
「正念場やからな」
「勝ってくか」
「負けた場合も考えてるけどな」
 それと共にというのだ。
「何といっても勝ちを目指すで」
「わかったわ」
 二人で頷いてだ、そしてだった。
 ここでだ、夏目がこうしたことを言った。
「正岡氏、織田氏にもこの牡蠣をご馳走したいでおじゃるが」
「そうだね、ただね」
「ただとは」
「あの二人も楽しんでたみたいだよ」
 玲子は笑って述べた、その夏目に。
「これがね」
「伊予で、でおじゃるか」
「鯛をね」
「伊予は鯛でおじゃるからな」
「それを食って酒を飲んでね」
 そしてというのだ。
「楽しんでね」
「今は出陣しているでおじゃるか」
「そうみたいだよ」
「そうでおじゃったか」
「だからね」
「今の気遣いはでおじゃるか」
「いやいや、勝ったらこうしたらいいんだよ」
 日本酒を漆塗りの大坂好きで飲みながら夏目に言うのだった。
「両方楽しむめばさ」
「牡蠣も鯛もでおじゃるか」
「それで九州の連中も迎えるんだからな」
「九州の幸もでおじゃるな」
「出して全部楽しめばいいさ」
 明るく豪快に笑って夏目に話した。
「そうじゃないかい?」
「ううむ、円地氏らしい考えでおじゃるな」
「あはは、あたしらしいだろ」
「その豪快な考えは」
「そうだね、けれど悪い考えかい?」
「いや、面白い考えでおじゃるよ」
「じゃあそれでね」
「西国統一の暁にはでおじゃるな」
「皆でそうして楽しもうね」
 牡蠣も鯛も九州の幸も全て集めて全員でというのだ、楽しもうと。そうしたことも話しながらだった。 
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