夢幻水滸伝
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第二十九話 九州の星達その五
「いや、ほんま美味しくて」
「手が止まらないですわ」
「どの料理の牡蠣もめっちゃ美味しくて」
「お酒もいけます」
「それはええとしてや」
それでもというのだ。
「二日酔いになるのもか」
「もう織り込み済みです」
「そのつもりで飲んで食べてます」
「それで朝はです」
「お風呂ですわ」
「朝風呂か、ほんま何かな」
どうかというのだった。
「遊び人やな」
「ははは、朝寝朝酒朝風呂だね」
玲子は飲みつつ豪快に笑って言った。
「あたしもこっちの世界じゃ普段はそうだよ」
「傾奇者はそうなんか」
「というか戦がないとすることがないからね」
だからだというのだ。
「そうしてるんだよ」
「朝寝朝酒朝風呂かい」
「そうさ、真夜中まで飲んで寝て遅く起きて」
そうしてというのだ。
「また飲んで風呂に入って」
「そうした生活かい」
「そうしてるさ」
「政せんからな、自分」
「というか性分じゃないからね」
知力はそこそこだがとかく政は性格的にも資質の面からも全くの不向きだ、玲子は根っからの武辺者なのだ。
「だからだよ」
「それでか」
「そうさ、あたしも普段はね」
「朝寝朝酒朝風呂かい」
「そうだよ」
「それもあらためるべきやな」
中里は飲みつつ玲子に返した。
「やっぱりな」
「政もしてだね」
「それでや」
「朝寝朝酒朝風呂はあらためるべきかい」
「夜にやるべきやろ」
朝ではなく、というのだ。
「やっぱりな」
「まあ戦がないとね」
「というか自分戦がないとほんま遊んでばっかりか」
「俸禄の中で遊んでるさ」
「放蕩はしてへんのか」
「女の子と遊んでばかりだよ」
そうした店でというのだ、戦がない時の玲子は実際にそうした店で美女達と日々賑やかに遊んでいるのだ。
「いつもね」
「この前子供達と遊んでいたでおじゃるな」
夏目はその玲子にこう問うた。
「そうでおじゃったな」
「子供も好きでね」
「それでか」
「遊んでたんだよ」
その子供達と、というのだ。
「そうしていたんだよ」
「子供も好きでおじゃるか」
「頭の中身が同じとかね」
子供達と、とだ。玲子は酒も生牡蠣も楽しみつつ話した。
「それでかもね」
「童心でおじゃるな」
「子供の心かい」
「澄んだ無邪気な心でおじゃる」
「あたしにはそれがあるのかい」
「だからそれも出来るでおじゃるよ」
子供達と遊ぶこともというのだ。
「そういうことでおじゃる」
「童心、いいねえ」
「円地氏はそれを持った方でおじゃる」
「そうなるんだね」
「その心大事でおじゃるよ」
「遊んでいてもだね」
「いいでおじゃる、ただ朝寝朝酒朝風呂ばかりの生活は」
どうもという顔になってだ、このことは夏目も言った。
「よくないでおじゃるな」
「夜にだね」
「すべきでおじゃる」
「じゃあ毎日から時々にするかい」
「休みの日ならいいと思うでおじゃるが」
時々ならとだ、夏目も言った。
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