夢幻水滸伝
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第二十九話 九州の星達その三
「最初から」
「飲むならとことんですやん」
「そやからです」
「飲んで飲んでのみまくって」
「生牡蠣も食べまくりますわ」
「何かこの連中何でも食うな」
中里はあらためてだ、四人のこのことに気付いてそれで言った。
「スナックでも何でもな」
「好き嫌いですで、うち等」
「お野菜も果物も何でも食べます」
「小魚も大好きです」
「ほんま何でも食べますで」
「そやねんな、まあそれはええことやな」
中里もそれは悪いことではないと考えているのでこのことについて特に何も言うことはなかった。
「二日酔い前提はともかくとして」
「生牡蠣以外にもフライも天婦羅もバター焼きも好きですよ」
「蒸し焼きなんかも」
「あとグラタンも」
「何でもいけますで」
この世界では普通に洋食も食べられるので四人も食べているのだ。
「牡蠣のシチューもええですね」
「土手鍋も」
「ほな牡蠣尽くしで」
「目一杯楽しんでいきましょ」
四人が率先してだ、呉のその港に向かう前にだった。吉川とも合流して牡蠣を食べることになった。
固い殻から出された生牡蠣に様々な調理をされたものが出されてだった、その牡蠣料理達を全員で食べる。
そして飲む、中里はそうしつつ唸った。
「ほんまにな」
「美味いな」
「ああ」
こう芥川にも答えた。
「これはな
「名物ってだけやない」
「決定的に他のとこの牡蠣とちゃうな」
「美味い牡蠣が育つ土壌があるねん」
安芸の海、ここにはというのだ。
「それでや」
「この美味しさか」
「そういうこっちゃ」
こう言いつつ芥川も牡蠣を食べて酒を飲んでいる。
「ええやろ」
「ほんまにな」
「この呉で養殖してるもんや」
「養殖か」
「そや、けど美味いやろ」
「ああ」
その通りだとだ、中里も答えた。
「ほんまにな」
「養殖もの馬鹿にするな」
「よおさん獲れて売れるしな」
「そやからええねん」
養殖ものもというのだ。
「この通りな、ただな」
「ただ?」
「天然ものもあってな」
「そっちの方がか」
「味がええのは事実や」
「やっぱりそうか」
「海女さんが獲ってる」
そちらの牡蠣はというのだ。
「そっちはな」
「そっちもよさげやな」
「実際に美味い、ただな」
「安定して獲れることはないか」
「それに瀬戸内でも冬は寒い」
「それでやな」
「冬に海は潜るのは難しいわ」
実際問題としてというのだ。
「どうしてもや」
「潜れる人は潜れてもか」
「そのこともあってな」
「天然ものよりもか」
「養殖ものの方が多いわ」
「そやねんな」
「こっちの世界でもな」
彼等の世界と同じくというのだ。
「そうなってるわ、それで僕等もや」
「今こうしてか」
「養殖ものを食べてるんや」
「成程な」
「それで美味いやろ」
「ああ、かなりな」
中里はウスターソースをかけた牡蠣フライを食べつつ芥川に答えた、そうしつつ白ワインを飲んでいる。
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