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夢幻水滸伝

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第二十九話 九州の星達その二

「それでこっちの世界でもな」
「柑橘類栽培しててか」
「美味いんや」
「それで食うか」
「どっちもな」
「そうか、ほなどっちも食いまくるか」
「そうするで、酒も飲みながらな」
「楽しみだねえ」
 玲子もだ、牡蠣の話に入って笑顔で言ってきた。
「酒の肴に最高だからね、牡蠣は」
「玲子ちゃん酒大好きやさいな」
「そうさ、もう飽きるまで飲んでやるよ」
「それで飽きたことあるか?」
「それがないんだよ」
 笑って言うのだった。
「どうもね」
「御飯と同じもんやな」
「どうもそうだね」
 玲子は中里に笑って返した。
「あたしの場合は」
「酒に遊びに喧嘩はやな」
「どれも飽きないよ」
「そしてそれが傾奇者やな」
「そういうことだね」
「ほっほっほ、楽しみでおじゃるな」
 夏目も出て来た、狐の顔で楽し気に笑っている。
「安芸の牡蠣は大坂の牡蠣とはまた違った美味しさがあるでおじゃるからな」
「自分も牡蠣好きなんか」
「よく中原氏と生を食べているでおじゃる」
「酒飲みながらか」
「そうでおじゃる、お酒は日本酒も白ワインもでおじゃる」
 どちらもというのだ。
「大好きです」
「何か皆酒好きやな」
「うちはそやな」
 牡蠣を言い出した芥川も笑って応えた。
「甘いものもやけどな」
「両方いけるな、全員」
「特に綾乃ちゃんがな」
「綾乃ちゃんはまた酒豪やからな」
「ああした娘をザルって言うねん」
「幾ら飲んでも抜けていく、か」
「酒がな、それでザルっていうねん」
 こう中里に話した。
「昔から日本にある言葉や」
「綾乃ちゃんはザルか」
「こと酒についてはな」
「僕等よりずっと強いしな」
「もう酒はな」
「綾乃ちゃんが第一か」
「何かロシアの氷帝とインドの雷帝も凄いらしいけどな」
 綾乃と同じ三極星の彼等もというのだ。
「綾乃ちゃんもあの通りや」
「三極星は全員酒豪か」
「みたいやな、ただ上には上がおってな」
「もっと凄い酒豪がおるか」
「そうみたいや、星の奴の中にはな」
「何処のどんな奴や」
 芥川から聞いたその話についてだ、中里は首を傾げさせながら返した。
「一体」
「それはまだわからんけどな」
「そうした奴もおるか」
「綾乃ちゃん以上の酒豪がな」
「あの娘以上の酒豪って想像出来んわ」
「そやろ、それは僕もや」
 まさにザルである彼女を見ていると、というのだ。
「ほんまにな、けどな」
「上には上がおるか」
「酒のことでもな」
「何でもそうか」
「その通りや」
「酒は酔い潰れるまで飲んで」
「朝にお風呂ですっきりする」
 例の四人がここでまた言ってきた、その能天気なまでに明るい調子で。
「これが最高やな」
「呉でもそうしよな」
「レモンかけた生牡蠣一杯食べて」
「それで潰れるまで飲んでな」
 四人で実に楽し気に話していく。
「朝はお風呂」
「それですっきりしてな」
「出港や」
「そうしような」
「二日酔い前提かい」
 中里は四人のそのやり取りに速攻で突っ込みを入れた。 
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