夢幻水滸伝
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第二十八話 呉からその九
「僕等はこれから呉に行ってそこから出港して正岡達とも合流して九州の連中と海での戦をする」
「そして我等は」
「萩に向かい」
「そうしてですね」
「そこでいざという時に備えておくのですね」
「海での戦に勝ったらすぐに上陸する」
九州、敵の領地にというのだ。
「そしてや」
「十万の兵で、ですか」
「一気にですか」
「九州を攻めていく」
「そうしていきますか」
「そや、まずは筑前やな」
この国だというのだ。
「ここの博多とか太宰府を抑えてな」
「そうしてですね」
「徐々にですね」
「南進していく」
「そうしていきますか」
「そや、目指すは鹿児島や」
そこまでだというのだ。
「筑前を足掛かりにしてな」
「そのうえで徐々に」
「攻め取っていきますか」
「そうするわ、四国は熊本城以外これっていう城もない」
堅固な城はというのだ。
「佐賀城もそこそこやけどな」
「ああ、ほなまず攻める筑前にはか」
「この広島城程の城やない」
そこの城もというのだ、中里にも話した。
「福岡城はな」
「そうなんやな」
「そやから海の戦で勝ったらな」
「特に、か」
「派手な城攻めもないわ」
堅固な城がないからだというのだ。
「本格的な戦は野戦が多くなる」
「そこでか」
「耳川とか沖田の辺りがまずいか」
「熊本城はあってもな」
それでもというのだ。
「北にこれといった城はない、けどな」
「それでもやな」
「とにかく九州の兵は強い」
「関西の兵と比べたらやな」
「基本こっちの兵は弱い」
芥川は中里に深刻な顔で述べた、自分達の勢力の兵達のことを。
「大体関東、東海、近畿、山陽、山陰、四国の殆どの兵は弱いんや」
「そうした地域はか」
「そや、東北や九州の兵が強くてな」
「北陸もか」
「そこそこ強い、それでな」
「九州の兵は強くてか」
「そこが油断出来ん、しかも鉄砲も多い」
関西の切り札の一つであるこの武器もというのだ。
「しかも駆けつつ撃ったり殿で死兵となって撃ってきたりな」
「そうしたことをしてくるからか」
「僕等から見るととんでもない撃ち方をしてくる」
「そこが問題か」
「そういうことや、こっちは二倍の兵で鉄砲の数も三倍はある」
そこまでの数があるがというのだ。
「それでもや」
「油断は出来んか」
「その通りや、わかったな」
「わかったわ、油断せんとやな」
「慎重に攻めていくで」
「そうして九州全土をか」
「併呑するわ、中国や四国との戦はすぐに終わったけど」
芥川は井伏と山本を見つつ中里に話した。
「今度はわからんで」
「何処で決着がつくかわからんか」
「そや、この世界の戦では決着がついたらそこで終わる時も多いけれどな」
「そうとも限らん」
「その場合もあるしな」
「九州を鹿児島まで占領するまで終わらんこともか」
「有り得るわ」
そうだというのだ。
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