夢幻水滸伝
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第二十八話 呉からその八
「そっちも充実させなな」
「そういうことか」
「まあ警察の次やな」
「憲兵を整えることは」
「まずは警察や、国が大きくなるとそれだけ人手が必要や」
治める領土が広くなり人が多くなるからだ、そうなればどうしても人手が必要になってくるものだ。
「それでや」
「人はやな」
「必要や」
どうしてもというのだ。
「そやからな」
「より内政を充実させる為にもか」
「警察も整える」
「日本全土のか」
「やがては太平洋全土のな」
そこまで見ていた、芥川は。
「そう考えてる、そしてな」
「この世界全体の治安か」
「それを考えてるわ」
「大きいな」
「大きいも何も世界を統一するつもりならな」
「そこまで考えてか」
「政をしてくもんやろ」
芥川の返事は何でもないといったものだった。
「そうやろ」
「そんなもんか、いや」
「わかったな」
「ああ、それが政やな」
「そや、政はな」
まさにというのだ。
「先の先、そして広くな」
「見ていくものやな」
「そや」
芥川は中里に会心の笑みを向けて彼に話した。
「わかってるやないな、やっぱり自分にもな」
「政をか」
「やってもらうで、どんどんな」
「戦だけやないってことやな」
「戦だけやったらその時は勝ってもや」
「国が豊かにならへんからな」
「やがては負ける」
そうなってしまうというのだ。
「そやからや」
「どんどん政をしてくか」
「むしろ戦は政の一部や」
政が主で戦が従、そう言っていい位だというのだ。
「政の在り方を解決する一手段や」
「そうやったな」
「そや、ほなな」
「僕も政をする」
「そうしてもらうで、積極的にな」
こうした話をしつつ備前を進んでいった、桃やマスカットの果樹園があり黍団子の工場もあった。海ではサッパ等が獲られていた。
その備前から安芸に入った、そして安芸の広島城に入ると。
井伏、そして山本と合流した。二人はすぐに中里達を出迎え本州と九州の間の話をしてきた。
「今はです」
「九州北岸で目立った動きはありません」
「あくまで今は、ですが」
「おそらく南から兵を北上させてきているのでしょう」
「そやろな」
芥川も二人のその報を聞いて述べた。
「そんなとこやろ」
「そして、ですね」
「軍勢を北上させ大宰府辺りに集結させ」
「そのうえで、ですね」
「水軍を以て戦を挑んできますね」
「そうなるやろ、そやけどな」
ここでだ、芥川は二人にあらためて答えた。
「こっちは既に水軍を持ってきてる」
「呉にですね」
「こちらの水軍の主力を」
「もう吉川が来てる」
その呉にというのだ。
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