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夢幻水滸伝

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第二十八話 呉からその六

「そこで井伏、山本の下に入ってもらってな」
「海での戦の後やな」
「九州上陸の時に動いてもらう、若しくは」
 芥川は中里に勝利を収める場合とは別の状況も話した。
「負けてもや」
「予備選力か」
「それになってもらう」
 こう言うのだった。
「いざという時はな」
「勝敗は戦の常やからな」
「負ける場合もある」
 そうなる可能性は零ではないというのだ。
「そちらもな」
「それでか」
「その場合も役に立ってもらえるからな」
「予備兵力を置くか」
「萩にな」
 まさにそこにというのだ。
「置くわ」
「そうするか」
「かなりの兵が萩に移るわ」
 今率いている十万の兵のうちのとだ、芥川は広島の方を見つつ言った。
「そうなるで」
「それで若し負けてもか」
「負けたら向こうが本州に上陸してくるやろ」
「その流れになるな」
「そやけどな」
「萩の方に軍勢を置いてるとやな」
「その兵で攻めて来る敵を水際で返せるやろ」
 芥川は既にその場合も考えていた、そうして海で敗れても巻き返そうと考えているのだ。軍師としてその場合の戦略も出しているのだ。
「それでや」
「萩に予備戦力を置いとくか」
「あの二人に任せてな」
 その井伏、山本にというのだ。
「そうするわ、あとあの二人も海での戦上手みたいやし」
「海での戦には参加させへんのやろ」
「そっちでも予備戦力や」
 そうなってもらうというのだ。
「負けた後で押し返してもな」
「また攻めるからか」
「その時には二人にも水軍を率いてもらうかも知れん」
「そういうことか」
「そや、あらゆる手を考えて打つのが戦やな」
 ここでも軍師としての言葉を出した。
「それでそうしてくわ」
「先の先、あらゆる事態を考えていく」
「そうしてくんや」
「流石やな、ほなこの姫路から」
「広島に行ってや」
 井伏と山本が待つそこにというのだ。
「そしてな」
「その次はやな」
「呉や」
 この港に行ってというのだ。
「そして海に出るで」
「海か、瀬戸内海やな」
「小舟もよおさん出てるわ」
「猟とか商いでか」
「そや、それで伊予の方では美味い鯛が獲れる」
「じゃあ鯛の刺身やな」
「勝ったらそれで祝うで」
 その伊予の鯛でとだ、芥川も笑って答えた。
「刺身に塩焼き、吸いもの、あと天婦羅や」
「最後は家康さんか」
「そっちも美味いやろ」
 鯛の天婦羅、徳川家康が食べてあたって死んだというそれもというのだ。
「そやからな」
「天婦羅の方もか」
「食べるで」
「わかったわ、けどそれはやな」
「勝ってからや」
 そこからだというのだ。
「やっぱりな」
「負けたらそれもお預けか」
「また勝つまでや、ほなな」
「広島までな」
「軍を進めるで」
 こう話してだ、中里は夏目や玲子とも合流し彼等の率いる軍勢も入れてそのうえでだった。 
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