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夢幻水滸伝

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第二十八話 呉からその三

「多いにしてもな」
「そやねんな」
「大砲は多ない、鉄砲主体や」
「けどその鉄砲がやな」
「多くてな」
「そのことも侮れんか」
「かなりな」
 実際にというのだ。
「しかも突撃しながら撃ったり退く時に座って死ぬつもりで撃って来る」
「それ実際に島津の軍勢がやってたな」
「こっちの世界でな」
「それをそのままやってるか」
「向こうの棟梁は鹿児島出身やからな」
 それで薩摩藩の戦い方も知っているというのだ。
「そうしてくるわ」
「そうか、そうしたこともしてくるか」
「しかも示現流や直新陰流の使い手も多い」
「直新陰流か」
 そう聞いてだ、中里は目を顰めさせた。そのうえで芥川に言った。
「あの薪割剣法か」
「知ってるか」
「ああ、勝海舟さんがやってたな」
 この流派の免許皆伝だった、彼の父であり江戸時代後期きっての傾奇者と言っていい勝庫吉もそうだった。
「あの流派やな」
「それや、とにかく強くてな」
 それでというのだ。
「そっちも」
「薩摩隼人は強いか」
「それに他の地域の連中もな」
 その彼等もというのだ。
「強いんや」
「全体的に強いんやな」
「そうした地域や」
「それで兵の数が上でもか」
「油断出来ん」
 中里に強い声で話した。
「九州との戦はな」
「二倍の兵、そして質のええ装備でもやな」
「全くな、それで僕等がやる戦い方はな」
 それはどういったものかもだ、芥川は中里に話した。
「頭も使う」
「物量作戦に加えてか」
「そや、これまで話してわかったな」
「九州の兵はやな」
「確かに強い、鉄砲も多い」
 装備もいいというのだ。
「力が強い、けどな」
「武士の強さやな」
「星の奴で陰陽師はおるけれどな」
 それでもというのだ。
「全体的に武士が多くてな」
「術はか」
「あまり秀でてないんや」
「そこを衝くか」
「こっちは陰陽師も僧侶も修験者もおる」
 修験者は欧州で言うと超能力者になる、超能力の術を使う職業なのだ。
「そして陰陽師もな」
「あっちより多くやな」
「おる、あっちでは少ない兵器もあるしな」
「大砲に空船やな」
「そういうのもある、相手にないものを使って」
「戦術もか」
「工夫していけばな」
 それでというのだ。
「勝つんや」
「そうしてくんやな」
「そやから僕も行く」
 軍師である彼がというのだ。
「これからな」
「頭も使って倒すか」
「そうするんや、今度の戦は敵の裏をかいていく」
 そうした戦になるというのだ。
「裏の裏をかかれると思ったらさらに裏をかく」
「裏の裏の裏か」
「そや」
 まさにというのだ。 
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