夢幻水滸伝
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第二十七話 浮島の内政その六
「電気をな」
「電気か」
「そや、石油も使うつもりやし」
「石炭で最先端ちゃうんか?」
日本では、とだ。中里は綾乃に聞き返した。鉄甲船が石炭を使って動いているのでそこからの知識だ。
「そうちゃうんか」
「最先端の最先端を研究する」
綾乃はいぶかしむ顔で自分に問うた中里に笑って返した。
「そういうものやからな」
「石油もかいな」
「もっと言えば錬金術の究極の技術の一つ」
「究極の?」
「永久動力な」
それだというのだ。
「そも開発しようってな」
「考えてるんか」
「これは一つ造るだけでも滅茶苦茶なお金がかかるねん」
「具体的にどれだけや」
「まあ今の関西の予算の十年分かな」
「十年かいな」
「そや、それだけかかるけど」
「一つでも造るとか」
「もうそれで電力とかはな」
それはというのだ。
「かなりいけるで」
「そうなんか」
「まあそれでも電気は必要やろけど」
「何か科学も魔法もあるとな」
「もうごちゃごちゃやね」
綾乃は中里に楽し気に笑って返した。
「一休さんの頃の町に電気とか」
「それ実際に思ったわ」
「実は魔法少女もおるしな」
「こっちの世界にはか」
「星の子でな」
「そういう娘もおるか」
「そやねん」
このこともだ、綾乃は中里に笑って話した。
「この都でマスコット連れて大活躍とか」
「滅茶苦茶変な感じやな」
「その変な感じが普通な世界やで」
こちらの世界は、とだ。綾乃は話した。
「そやからこの御所でもな」
「電気が届くこともあるか」
「あとパソコン使えたりとかな」
「どんどんカオスになってくな」
「武士とお公家さんの世界でな」
「凄いわ、けど技術はほんまにな」
実際にとだ、中里は国家の政に関わる者として言った。
「革新出来たらな」
「どんどんやな」
「やっていかな」
それこそというのだ。
「あかんな」
「その通りやで」
「ほな食べたら工場行こうな」
芥川は新鮮な柿を食べていた、見事な甘みだけでなくほのかな渋みもありその混ざっている感じがいい。
「手拭い造ってるな」
「そこに行くんか」
「ここは木綿作ってるって言うたな」
「ああ、それでやな」
「木綿から造ってるねん」
その手拭いをというのだ。
「どんどんな」
「それで僕等も民も買って使って」
「外にもどんどん売ってくねん」
「そして儲ける」
「経済は儲けることや」
芥川の言葉は実に簡潔だった。
「ええものをよおさん造ってな」
「それでやな」
「他のもどんどん造ってな」
「売って儲けて」
「金持ちになるんや」
最後にまた濁酒を飲みだ、芥川は明るい笑顔で言った。そして昼食の後でだった。三人はその工場に向かったが。
工場に向かう途中でだ、中里は綾乃を見て言った。
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