夢幻水滸伝
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第二十七話 浮島の内政その七
「全然酔ってないな」
「平気やで」
実際にとだ、綾乃は白い顔で応えた。
「この通りな」
「ほんま酒強いな」
見れば中里も芥川もかなり入っている。
「綾乃ちゃんは」
「うちお酒強いから」
「強いにも程があるわ」
「そうかな」
「そやで、けど酔ったままで視察ってよおないし」
それでと言った、ここで。
「術で抜こうか」
「酒抜く術かいな」
「そや、毒を抜く術でな」
僧侶の術の一つだ、綾乃は全ての術が使えるので僧侶の術も使えるのだ。
「それで抜けるで」
「二日酔いは毒かいな」
「酒毒っていうやん」
「それでか?」
「というかあらゆる毒だけやなくて」
「酒もか」
「抜ける術でな」
それでというのだ。
「二日酔いも抜けるねん」
「成程な」
「三人に一度にかけるで」
中里と芥川だけでなく綾乃自身にもというのだ。
「そうするで」
「お酒抜いて行くのはエチケットやな」
「視察に行くんやし」
それ故にとだ、綾乃は中里にこのことも話した。
「それやったらな」
「お酒は完全に抜いてか」
「工場行こうな」
「わかったわ」
「綾乃ちゃんはほんまは一人に対してしか使えん術も大勢の人間に対して使えるんや」
芥川は綾乃のその力のことも話した。
「神具、鏡の力でな」
「八咫鏡やな」
「あれの力でな」
「大勢の人間に同時にかけられるんか」
「軍勢単位でかけられる、三人位は何でもない」
「凄いな」
「魔法を使える数も多いしな」
綾乃はそちらも優れているというのだ。
「星の奴の中でもな」
「そういえば星の奴は元々こっちの世界におる奴より術使える数も多いな」
「そやろ」
「どの術もな」
「僕等もそうで綾乃ちゃんは特にや」
「多いんか」
「それで僧侶の術が一番得意や」
そちらの系統の術を使うこと、そして効果もあるというのだ。
「そやから毒を抜く術もな」
「三人同時にかけてもか」
「綾乃ちゃんにとってはどうってことはない」
「そうなんか」
「そやで、ほな使うで」
綾乃は芥川の説明が終わってからだった、実際に毒抜きの術を使ってそれで三人の酒を抜いた。すると。
それまでとは全く違ってすっきりとなってだ、中里は不思議な顔で言った。
「こうもあっさり酒抜けるとかな」
「びっくりするやろ」
「ちょっとな」
「便利やろ」
「お酒は酔ったら中々抜けんからな」
中里もそれで苦しんだことがある、二日酔いは誰でも辛いものだが彼にしてもそれは同じなのだ。
「そやからな」
「それこそ汗かかなな」
「あとお水とか飲んでしじみのお味噌汁とかも」
「そこまでしてやからな」
「苦労して抜かなあかんけどな」
「一番ええのはお風呂やな」
綾乃はくすりと笑って自分が好きな二日酔いの解消方法を話した。
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