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DOREAM BASEBALL ~ラブライブ~

作者:山神
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組み方

結局その後綺麗なヒットは生まれなかった。だが徐々に見えるようになってタイミングも合ってきて、チーム全体にやれそうな意識が芽生えた。

そしてその後数日が経ち合宿最終日、この日は八崎の計らいで地元の中学生たちと練習試合を2試合組ませてもらえることになった。

「で、剛。お前はこのオーダーをどういう意図で組んでるんだ?」

この日は仕事も休みのため八崎と徳川双方ともに試合を観てくれることになったのだが、アップをしている選手たちから離れた場所で剛に詰め寄っていた。

「穂乃果を1番に置いてるのはチームに勢いを与えるからですね。凛や真姫はその後に続けるからいいんですが、海未以降にはちょっと迷いがありますけど・・・勝ってるからいいかなっと」
「でもスコア見せてもらったけど、勿体無いアウトも結構あるよな?それを見ても変える気にはならないか?」

一週間の練習を見てきた中で今の打順に疑問を呈する2人。それには剛も納得だが、勝ってるだけに打順を弄りにくいのは監督としては仕方ないところである。

「考えてるのは絵里を4に置こうと思うんですが」
「いいじゃん」
「でも次の5番が難しいな。長打を狙わせるか繋ぎに徹するか」

1番から3番は弄りたくない。しかしその後を打つ打者をどう組むか、これが非常に難しい。

「面白い提案してみていい?」
「??」
「なんですか?」

自身の考えを友人と後輩に伝える八崎。それを聞いた2人は思わず爆笑したが、その提案に乗ってみることにした。
















「じゃあ今日のオーダーを・・・プッ」

試合前のスタメン発表で笑いを堪えきれずにいる剛。それに不思議そうに選手たちが顔を見合わせると、彼は咳払いをしてオーダーを発表する。

「1番キャッチャー穂乃果」
「はい!!」
「2番セカンド凛」
「はいニャ」
「3番レフト真姫」
「は~い」

いつも通りのスタメン。それだと先程の笑っていた理由がわからなかったが、ここから大きな変更があった。

「4番ショート絵里」
「はい!!」

これまで4番を務めてきた海未に替えて絵里を上げる。これには特別驚きはなかったが、次に呼ばれた名前に皆驚いた。

「5番サードにこ」
「にご!?」

思わず返事がおかしくなる少女。その声になのかはわからないが剛が笑いそうになっているのを必死に堪えているように見える。

「6番センター希」
「はいは~い」
「7番ライト海未」
「はい!!」
「8番ファーストことり」
「は~い」
「9番ピッチャー花陽」
「は!!はい!!」

後半も若干の変更があったがそれよりも5番打者に指名されたにこに対しての驚きが勝ってしまい特に何も起こらない。その後軽いミーティングがあったものの、重要なことはあまりなかったためあまり時間もかけずに終わる。試合まで一度解散すると、全員がにこの元に集まっていた。

「にこちゃんがクリンナップ?」
「びっくりしたニャ」
「何言ってるのよ!!きっと剛さんはにこの潜在能力に気付いて――――」
「それはないわ」
「ツッコミ早!!」

盛り上がっている少女たち。その様子をグラウンドの外から見守っているのは昨日まで選手たちに様々な指導をしてくれた2人の男性。

「矢澤が5番は思い切ったな」
「そうか?俺は十分ありだと思うけど」

八崎は4番、徳川は5番とクリンナップを担ってきた彼らはその打順の重要性をよくわかっている。しかし、その中でも2人は違う考え方を持っていた。

「ちゃんとあの5番が機能するのか・・・」
「そこは信じるしかないけど・・・まぁいけるだろ」

不安な様子の徳川と大丈夫だと思いたい八崎。お互い相手が何を考えているのかわからないまま、試合は開始された。















先攻の音ノ木坂は穂乃果が打席に入る。それを見たバッテリーはちょっと驚き気味。

(女子校生って聞いてたけど、めっちゃ可愛い)
(こんな子たちに野球なんてできるの?)

監督から突然言われた練習試合。だが選手たちの中には気合いが入っている選手も多くいる。

「向こう本メン?」
「レギュラーもいるけど、控えも混じってるらしい。てかエースには先発させるなって言ってるから」
「そりゃまたなんで?」
「130km超えのストレートなんか女子で投げないからな」
「あぁ、なるほど」

レギュラーでない選手は女子校生であろうと自分をアピールするいい機会。ましてやマウンドにいるのは2番手投手。試合で投げるためには、ここで結果を出すのは絶対条件。

「この条件なら本気でやってくれるだろう。それに勝てなきゃ意味ないし」
「よくわか・・・おっ?打った」

話しているうちに先頭の穂乃果がセンターにキレイに跳ね返すヒット。初球を打ち返されて中学生たちは驚愕している。

(穂乃果はスイング安定してきたな。これなら1番に置いたままでいられる)

1番穂乃果に自信を無くしつつあったもののこの合宿での成果を見ることができ満足げな剛。続く凛にはバスターエンドランを仕掛けさせ見事にハマりノーアウト一、三塁。

「凛ちゃんうまくなったよね!!」
「盗塁のコツも教えてもろうたみたいやし、この1、2番は頼りになるなぁ」

元々運動神経のいい凛は長打こそないが出塁率が高い。これまで通り、1、2番でチャンスを作れば3番には長距離ヒッターの真姫がいる。

カキーンッ

2ボール1ストライクからの4球目。真ん中に入ってきたストレートを痛打する。打球は右中間を深々と破るツーベース。穂乃果はもちろん、俊足の凛も楽々ホームイン。

「あの長打は魅力だな」
「あれで足が早けりゃ1番なんだがな・・・」

押せ押せ野球で戦ってきた東日本学園は長打を打てて足もある選手を1番に置き先手を取りたい。そんな彼らが期待しているのは、実はここから。

「さて、期待の3年生トリオだぞ」

絵里、にこ、希と続く3年生。前の打順でも繋がっていたが、その時とは組み方が少し異なる。そのため相手が取る対応も変わってくる。

「ボール!!フォア」

3ボール1ストライクからは完全に外させての敬遠。その前の内訳も全て外のギリギリのところに投げていった辺りこのチームを警戒し出したことが伺える。

「でも歩かせちゃダメだろ?」
「そんなことないよ。だって見てみろよ、次の打者」

打席に入るのは前の2人に比べて10cm近く低い華奢な少女。それを見たらどのチームも同じことを考える。

「ここで勝負しないで歩かせても問題ないとね」

実際長打のないにこは本来の組み方ではクリンナップには入れない。しかし、あえて彼女を置くことを進めたのにはもちろん理由がある。

「で?その理由は?」
「剛なら理解してるから、ちゃんと指示を出してるはずさ」

ランナーを見つつ投球に入る。まずは内角へのストレートでストライク。続いて外角へのカーブを選択したが、にこはそれを逆らわず右に流した。

「ありゃ、抜けちゃった」

ノーアウト一、二塁となれば当然一塁手はベースから離れダイヤモンド内を守る。普段よりも前に守っている分、にこの打球に反応できなかった。

「にこはパワーはないが技術がある。どこかにある守備の隙を抜いてランナーを返すこともできるんだよ」

女子野球ではホームランが出ることは少ない。ゆえに長打が出ても塁にランナーが残る。それをにこの技で返すのがこの打順の狙い。

「バックホーム!!」

それを見て3塁を蹴る真姫。ライトは大急ぎでバックホーム。ギリギリのタイミング・・・になるはずだったが・・・

「「足遅ッ!!」」

ホームベースの手前で返球が届き楽々アウトにされてしまった。

「・・・真姫の打順を考えた方がいいんじゃね?」
「それはあるかも」

剛も悩ます真姫の走力を目の当たりにした彼らはベンチにいる後輩と同様に頭を抱えていた。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
最近色々あってなかなか投稿ができずにストレスを感じる・・・
そして次で合宿を終わらせるとか言ってたのに終わらない始末・・・
次こそ終わる予定です。それから大会に入っていきます。 
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