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DOREAM BASEBALL ~ラブライブ~

作者:山神
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教え

 
前書き
ソフトバンクホークス優勝おめでとう!!
今夜はハリー君を洗わせてもらいます(笑) 

 
翌日の午後

「うわぁ・・・徳川さんのボールを見れるなんて夢みたい・・・」
「ホントよね・・・はぁ・・・楽しみ」

マウンド上で肩を作っているのはかつての剛の先輩である徳川和成。剛の二個上の先輩で、西東京大会ベスト4に進出した時のエースだ。

「そんなにすごい方なんですか?」
「あの時は確か甲子園に行ってないはずだけど」

海未と真姫の言葉を聞いた瞬間、花陽とにこの目が吊り上がった。

「何言ってるの海未ちゃん!!真姫ちゃん!!」
「徳川さんはその夏の準々決勝と準決勝で甲子園で投げた2人の投手相手に互角以上のピッチングをしたのよ!!」
「準々決勝では9回を完封、準決勝ではその夏甲子園で準優勝する和瀬田実業に延長11回でわずか3失点!!その年のドラフトで3位でかかるすごい人なんだよ!!」

熱弁する2人にタジタジの面々。だがこのチームのスラッガーである絵里は冷静にあることを考えていた。

(なんでそんな人がこんなところで野球をしてるのかしら)

ドラフトにかかったのならプロに行ったのだろうが、それが今ではこの一企業の社会人野球選手としてプレーしている。剛の知る先輩なら年もまだまだ若いはずなのに、それが気になって仕方ない。

「よーし!!いいぞ、打順ごとに打席に入れ」

準備が出来た徳川がそう声をかけた後、後ろを守る那覇電気の仲間たちにおじきする。打席には予選と同じ打順として穂乃果がまず入る。

(1番にキャッチャーか。剛らしい打順の組み方だが、この子は1番の特性がちゃんとあるのか?)

ショートを守る八崎が打席に立つ少女を見ながらそんな感想を抱く。穂乃果は左打席で構えるとまずは様子を見ようとした体勢でいる。

(まずはストレートを無難に外角でいいかな?)

キャッチャーを務める選手がサインを出すと徳川は大きく頷く。青年は大きく振りかぶると、力強く踏み込みボールを投じる。

バシィッ

それのボールを見た瞬間グラウンドの空気が凍り付いた。女子野球では絶対ありえないようなスピードボール。恐らく140kmは出ているだろう。

「あのバカ・・・」

思わず頭を抱えたのは高校時代から彼のことを知る男。他の選手たちも顔を見合わせているが、本人は気にした様子もなく平然としている。

「何あれ?もしかして本気で投げてるの?」
「そうなの・・・かな?」

ビビってしまい顔がひきつっている少女たちは大人げない投球を見せる師匠の先輩にちょっと引いていたが、打席に立つ少女の表情を見て皆不思議そうな顔をした。

「穂乃果・・・笑ってませんか?」
「海未ちゃんにもそう見える?」

1番間近で見ている穂乃果はなぜか嬉しそうに笑っている。続く球も徳川の売りである豪速球。穂乃果はそれに積極的に振りに出ると、今度はバットに当たり、バックネットに直撃する。

「すごいね、君」
「ありがとうございます」

捕手から褒められると軽く会釈して答えまた投手に向き直る。その真剣な眼差しを見ると、捕手は徳川が何を狙ってこのシートバッティングを提案したかすぐにわかった。

(なら次はこいつを見せてやろう)

そのサインを見て投手はうなずきそれを投じる。穂乃果は前の2球と同じタイミングで振りに出ると腰砕けになる。徳川の投げたボールはそれまでよりも遅く、穂乃果のスイングが終わってからミットへと収まった。

「チェンジアップか・・・いつの間に・・・」

高校時代は持っていなかった球種に思わず目を見開く。三振に終わった穂乃果はベンチに帰ってくると、嬉しそうに今見た球を語る。

「すごいよみんな!!あんなに速い球初めて見たよ!!それに最後の球もストレートと勘違いしちゃうくらいフォームが一緒でさ!!」
「穂乃果、よくそんな楽しそうにいられますね」
「そうニャ!!あんなの打てるわけないニャ!」

穂乃果と正反対の反応をしていたナインが彼女にそう問いかけると、彼女は首を傾げこう解答した。

「確かにそうだけど・・・でもそう思ってたらツバサさんだって打てないと思うんだ」
「「「「「え?」」」」」
「ツバサさんのボールもすごかったよね?それに私たちは途中で諦めちゃった・・・徳川さんはツバサさんよりずっとすごい。でもそれで簡単に諦めたら、ずっと変わらないと思う。きっと徳川さんもそういうことを伝えたくて、あえて全力で投げてると思うんだ」

それを聞くと確かに納得できる。彼女たちは女子野球No.1投手を前に途中で戦う意志を失い、試合が壊れた。徳川はそれを伝えたいのだと考えられなくもない。
それに納得して次の打者の凛が打席に向かう頃、その言葉が1番胸に突き刺さっている男がいた。

(あのことのせいでケガは仕方ない、無理をさせないでリスクを下げようとしている俺に、そんなことはないと伝えたいのか?もっと別にやれることがあると言いたいのか?)

直接口で言う人じゃなかったが、そのせいでいつも大事なことに気付くのが遅れた。そのせいで後悔したこともたくさんあった。今回は絶対に見落とすわけには行かない。

「すみません、俺、球審してもいいですか?」

球審をやっていた那覇電気の監督にそう言うと、彼はそれを譲ろうとしたが捕手から思いがけない提案が成される。

「だったらキャッチャーしろよ。しゃがむのが無理じゃないならだけど」

もっと間近で徳川の気持ちを伝えてやりたいと仲間たちも思った。剛はその提案を受けると防具を着け2年ぶりとなるポジションに着いた。

(ヤバイ、懐かしい)

捕手からサインを教えてもらい徳川へと初球のサインを送る。それにうなずき徳川の投じたボールに、凛は食らい付くようにスイングする。

「ニャニャ!!全然見えない」

あまりのスピードに目がついていかない。剛や球審からアドバイスが飛ぶが、なかなか捉えることができずに打者一巡してしまう。

「よーし!!今度こそ打つぞ!!」

一度休憩を挟んで再度始まる練習。打席に向かう穂乃果は・・・いや、音ノ木坂の選手たちは次こそはと意気込んでいる。

(ケガでプロを解雇されて、トライアウトでも声が掛からなくてこのチームに来たって聞いてたけど、その時の悔しさがここまで徳川さんを成長させたのか)

高卒でプロに入ったもののケガで思うように結果を残せず社会人野球をすることになった。だがプロでの経験とまたその舞台に戻ろうと思う気持ちが彼を成長させ、今新たに野球に取り組む者たちに自分の想いを伝えようとしている。

キンッ

なおも140kmを越えるストレートを投げてくる徳川。その初球を穂乃果はバットに当ててみせる。

(よし、次こそは・・・)

ギラギラと目を輝かせて目の前の大きな敵に挑む少女に徳川は思わず笑みになる。彼は剛の出すサインに首を振ると、次のサインに頷く。

(ホントは投げるつもりはなかったけど、特別大サービス)

脱力したワインドアップから体重移動へと移ると、先程よりも明らかにその速度が速い。

ビュッ バシッ

ボールが手から離れたかと思った途端、ミットにそれが収まっていた。その速度は間違いなくこれまでのボールよりも速くなっている。

(戦力外になって2年。カズは150kmを越えるストレートを手に入れた。今年のトライアウトで絶対にプロに戻ってやろうと気合いが入ってる。それを全面に出してるんだから、剛にしてみりゃ響くものがあるだろうな)

ショートの守備で体を動かしている八崎がそんなことを思いつつエースの姿を見ている。
剛はこれを見て再度ストレートを要求。徳川はもちろんうなずき、内角低めにその球を放る。

カンッ

フルスイングでそれを迎え撃つ穂乃果。そのバットから金属音が聞こえると、打球は三塁線を抜けていった。

「やった!!打った!!打ったよ!!」

完璧とは言い難い打球だったが、ついに前に打球が飛んだ。渾身のストレートだっただけに、徳川はちょっと苦笑いしている。

「よーし!!凛も続くニャ!!」
「よく見ていきなさいよ」
「頼むわよ、凛」

そのヒットを皮切りにチームが活気付く。それを見た大人たちは楽しそうに守備に着いていた。




 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
とりあえず刺激が色々あった話になったんじゃないかと思う今日この頃。
次で合宿回も終わると思います。まもなく全国大会も始めていこうかな 
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